内容説明
2000年から2001年にかけて、中国で日系企業をめぐるトラブルが相次ぎ、当地のメディアから激しい指弾を受けた。これには、中国人の消費者意識の肥大化やマスメディアの商業化、歴史問題をめぐる複雑な感情や急速な経済発展に裏付けられた民族意識の昂揚、などの背景があり、状況変化に付いて行けなかった日系企業の脇の甘さは致命的だった。対中投資のとどまらない潮流のさなか、マスメディアや消費者運動のバッシングを回避し、企業として市民権を得るには、情報発信の領域でいかなる対応が求められているのか。失敗しないための戦略を伝授する本。
目次
1 日航事件の発端
2 はたして民族蔑視か
3 東芝・三菱自動車事件
4 中国人の今や過剰な消費者意識
5 中国メディアの商業化
6 日航事件の展開
7 中国の愛国主義と「歴史問題」
8 日航事件の結末
9 日本企業の課題と対策
著者等紹介
渡辺浩平[ワタナベコウヘイ]
1958年、東京生まれ。立命館大学卒。東京都立大学大学院修士課程修了後、博報堂入社。北京、上海での勤務を経て、97年、愛知大学現代中国学部常勤講師。2001年より北海道大学助教授。同大の学部で中国語を、大学院国際広報メディア研究科で広告論を教える
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感想・レビュー
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KAZOO
102
中国のマスメディアの生き残る方法がここには書いてあります。日本パッシングをすればするほど売れるというのです。また企業進出する際の注意点などもケース・スタディでいくつか掲載されています。まあ最近(この本は13年前の本)は少なくはなったのかと思いますが、やはり何かあると出てくるのではないでしょうか?きちっとすべて手順あるいは手続き通りに行っていくべきでしょう。2016/05/21
Hisashi Tokunaga
1
当時の中国参入企業への警告の書であった。平時の体制つくりへのアドバイスは平凡だが、「・・それらの努力をしても、日中間には歴史という枯草が敷きつめられており、いつ何時火がつくとも限らない。・・」は、とりわけ中国が共産党政権だけにリアリティがある。(2013・3記)2004/02/01
結城あすか
1
この本が中心事例として扱ってるのが関空で日航が中国人乗客に対して差別待遇を行ったという事件なんだけど、事件の発端がメディアやネット世論に煽られて、過大な消費者意識で訴訟を起そうとした乗客側の視点で語られているのに、その後の経緯や和解に至る事件の結末の記載がほとんど日航側の公式発表に基づいた記事に留まっているのが物足りないにょ。2003/12/04