内容説明
故淀川長治氏と並び称されてきた著者は、本年(二〇〇三年)九十三歳にしてなお現役、これまで見てきた映画は優に二万本を超えるという、まさに生き字引的映画評論家。近年、外国映画約八千九百本の評を、世界にも類を見ない膨大なガイド『ぼくの採点表』全六巻に集大成し、二〇〇一年の菊池寛賞も受賞した。本書ではそれを上回る一万数千本から、「理屈抜きに面白い」という観点で選び抜いた五百本を収録。文字通り「究極のシネマガイド」である。
目次
1 外国映画ぼくの500本―作品ガイド篇
2 ぼくの小さな映画史(無声映画は骨董にあらず―草創サイレント時代;トーキーの登場―傑作が目白押しの30年代;そして黄金時代はつづく―百花繚乱の40~50年代;「夢」から「リアリズム」へ―転機を迎えた60~70年代;CGは映画の救世主か?―ゆきづまる80~90年代)
著者等紹介
双葉十三郎[フタバジュウザブロウ]
1910年東京生まれ。子供の頃より映画に魅せられ毎日のように映画館通い。東大経済学部卒業後、住友本社に入社、エリートコースを歩むも映画への想い断ちがたく終戦直後に退社。映画評論家として独立、現在に至る。これまでに見た映画は2万本を超すといわれ、故淀川長治氏と並び称される生き字引的存在。2001年、菊池寛賞受賞
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感想・レビュー
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カブトムシ
23
ヘミングウェイ原作…「老人と海」双葉十三郎さんの映画の評価は、☆☆☆★★★でやや手厳しい。キューバの海。老漁師トレーシーが、三日三晩の死闘の末、巨大なマカジキを釣りあげるが鮫に襲われる。老人は鮫と必死に闘うが、力及ばずマカジキを食い尽くされてしまう。ほとんどを老人に密着した映画詩的な作品。私はテレビで見た記憶がある。「キューバにロケしたという海辺の風景の空気もすばらしい。」
カブトムシ
20
夏目漱石「坊っちゃん」を100回以上読んだと言っている人がいた。映画でも100回以上見たという人がいたのが「ローマの休日」でした。さもありなんと思いました。双葉十三郎さんの評価は、☆☆☆☆★です。私が印象に残っているのは、「アラビアのロレンス」です。双葉十三郎さんの評価は、やはり☆☆☆☆★です。第一次大戦中、トルコに抗してアラブを救った有名な英国の軍人、T・E・ロレンスの半生をピーター・オトゥールが演じました。砂漠の景観がとても綺麗に映像化されてました。
カブトムシ
20
淀川長治さんは、この本の著者より、1歳年長です。チャールズ・チャップリン好みが共通しています。この本の500本のうちに9本が選ばれています。私は、大学時代に、リバイバルのチャップリンシリーズの企画があって、劇場でほとんどを見ることが出来ました。「街の灯」(1931年)☆☆☆☆★「モダン・タイムス」(1936年)☆☆☆☆「チャップリンの独裁者」(1940年)☆☆☆☆「チャップリンの殺人狂時代」(1947年)☆☆☆☆となっています。この本の著者の双葉十三郎さんも映画好きに有名な方でした。淀川長治さんと共に。
meditation
7
図書館で借りて読み、結局、古書店で買いました。ほんとうに役立つ映画のガイドブック。アートフィルムと娯楽作品のバランスが絶妙! 手許に置いて拾い読みしています。2023/09/08
maech9
5
(この本にネタバレとかはないだろう) この本には物語の面白さがある。 この本は映画ガイドです、でも、傑作の物語でもある。 評者が何歳か、公開年から評者の年齢の下限が割り出せる。どうです、彼はこの映画を少なくとも◯歳の時には観た、で、斯斯評が描かれている。 評者はプロだから、プロの文章が私小説でない事くらいは承知している。それだから難しく、何度でも読まれるべきなのだ。年輪が等しく刻まれるのだと信じている俺は、そう感じた。 (けれども、映画はもっと普遍的なのかもしれない、そりゃね。) (ツタヤへ行け!!!!)