内容説明
五〇〇万人もの人びとが交通事故にあい、損保との交渉を強いられている。事故のあとの紛争は事故そのものにもまして熾烈。被害者vs損保の火種は、さらに損保vs病院、被害者vs弁護士にまで飛び火する。悔いる加害者、怒る被害者、悩む弁護士、ためらう裁判官。そんな彼らをよそに損保はひとり利益を追求する。保険金を出し渋る損保の論理とは何か?対抗する戦略は?損保の内情にも通じた弁護士が描く、正義と欲望の人間ドラマ。
目次
1 水没
2 酒
3 休業損害
4 免責
5 傷跡
6 塀
7 医療調査
8 示談
9 替え玉
10 海外事故
11 量刑
12 保険料
著者等紹介
加茂隆康[カモタカヤス]
弁護士、エッセイスト。1949年生まれ。72年、中央大学法学部卒業。翌73年、司法試験合格。76年、弁護士登録後、東京都中央区に加茂隆康法律事務所を開設。交通事故賠償のスペシャリスト
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感想・レビュー
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mitei
215
こういういやな息の詰まるような交渉って大変だな。しかし損保とか伏字にしているが、社会的に問題のある所はもう公開したほうがいいような気がする。2016/07/16
aochama
4
刊行から時間が経っていますがわ、被害者、保険会社、加害者いずれの弁護も担当した豊富な経験をもとに交通事故紛争の代表的な例が事件簿として分かりやすく紹介されています。車を運転する方はもちろん、事故にまつわる人間模様を知りたい方も一読の価値ありますね。2021/03/29
tetuneco
1
後始末まできちんとね。2008/06/19
タロウ
0
交通事故紛争の実例が知りたくて読む。作者には文学的センスがあり、思っていた以上に良い本だった。特に損保の従業員が、裁判で負けることが分かっていても金を使って裁判してくること、なぜなら、簡単に保険金を払ったら上司にとがめられるからで、裁判に負けてもこれだけやったということを上司に見せて、上司からとがめられない目的で裁判してくる、というところはよかった。また、加害者となる運転手が、助手席にいて死亡した被害者の恋人であったことが後からわかった裁判など、まるで小説を読んでいるようであった。2020/10/12
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