内容説明
二十五年間にわたり、文章と考え方の指導をしてきた教授による徹底指南。論文も仕事も、勝利をつかむための極意は問いを立てることにありとして、「カフェと喫茶店の違い」「牛丼と宅急便の関係」「司馬遼太郎と山田風太郎」など奇想天外な例証を次々に挙げつつ思考のレッスンを展開する。点のとれる論文、会議に通る企画書、銀行をウンと言わせるプレゼンテーション案を書きたい諸氏は必読。
目次
第1回講義 日常生活と論文(どうせなら、日常生活に応用のきく論文の書き方はないものだろうか;自分の頭で考えることの楽しさ ほか)
第2回講義 問題の立て方(論文指導とは問題の立て方を教えること;良い問いというのは二種類のみ ほか)
第3回講義 資料の集め方(宿題タイム;資料を集める、どこで参考文献を探すか ほか)
第4回講義 論文の組み立て方(序論を書く;本論を書く ほか)
著者等紹介
鹿島茂[カシマシゲル]
1949年横浜市生まれ。東京大学大学院修了。現在、共立女子大学文芸学部教授。専門は19世紀のフランス小説。『馬車が買いたい!』で第13回サントリー学芸賞、『子供より古書が大事と思いたい』で第12回講談社エッセイ賞、『職業別パリ風俗』で第51回読売文学賞を受賞。文学研究・エッセイ・小説・翻訳など幅広い分野で著書多数
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
72
積読本に登録してあったがたぶん再読。論文の新しい技法書を買ったので、読み返してみた。一度拙いながらも論文を書いてみた身だからこそ理解できるポイントがたくさんあって、読んでよかったと思った。けれど自分は未知の問いの立て方というものがすごく下手なので、研究者には向いていない。ただロジカルな文章の書き方を勉強しておくと、その他のふつうの文章にも応用がすごくきくので、こういった本を読むこと自体はおすすめ。2022/05/31
テイネハイランド
12
若干ウケ狙いのタイトルにはなっていますが、中身のある本を数多く執筆されている鹿島茂さんが、自身の論文作成のノウハウについて正直に述べられています。第二回講義の「問題の立て方」には、理系/文系関係なく含蓄のあることが多く書かれているように感じ、この章だけでも読む価値はあるとおもいます。第三回講義の資料の集め方では、人文系学問特有の資料収集の難しさを実感させられました。あと、この本の企画にかかわり、自身でも模範解答となる論文プランを提出した文芸春秋の編集者(大口敦子さん)の能力の高さも、感じました。2015/11/15
tieckP(ティークP)
11
文春の編集者に対して雑談調で論文の書き方を語った本で、論文指南本か鹿島茂本かと言えば後者。蘊蓄おじさんとしての魅力は他のエッセイと変わらず堪能できる。一方で、これはおそらく無自覚風の自覚的行動だけれども、論文の書き方を指南するという体で、実はこの程度の説明では一般人が書けないことも予感させ、天才としての自己を示している。とはいえ、鹿島茂の魅力はそのくだけている傲慢さのような部分にあるわけで(街金で借金しちゃったよ、他の人以上に研究熱心だからね!的な)、論文を書く息抜きとして学生に読んで欲しい気もする。2023/04/11
かな
9
すぐに使える実際的なハウツーというより、これまで論文に触れたことがなく、論文とは何かということや論文を書く心構えについて知りたい人向け。大学生になったら一度は読んでみるといいと思う。2017/11/18
naotan
9
学生向けに書かれた本だけあってわかりやすい。ハウツーものとしてよくまとまっているけど、豊富に出てくる具体例がイマイチ(面白いけどそれで何なの?と思ってしまった)で残念。2017/07/27