内容説明
大航海時代の船乗りや兵士たちも、病と死の恐怖なしに、異国へと旅立つことはできなかった。歴史始まって以来の大旅行家、アレキサンダー大王が旅の途上で命を落としたのも、たった一匹の蚊によるマラリアのためであったと言われる。時は下って現代、旅の主役は一般市民となり、医学もまた目覚しく進歩した。しかし、無防備に旅立ち、現地で病院に駆け込む人ははいまも多い。逆に持病があっても適切な準備をすれば、旅を満喫できる。豊富な地図とともに、旅と病の歴史を遡り、病気を防ぐ「医学的旅支度」を考える。
目次
プロローグ 「ベニスに死す」の真相
第1章 旅人と病気
第2章 旅人により運ばれた病気
第3章 古典的旅行医学の時代
第4章 古典的旅行医学の興隆と終焉
第5章 現代の旅行医学の誕生
第6章 現代の旅行医学がめざす医療
第7章 旅行医学と感染症の今
第8章 古典的旅行医学の遺産
第9章 これからの日本に求められること
エピローグ 宇宙旅行の時代を目前にして
著者等紹介
浜田篤郎[ハマダアツオ]
1955年、東京生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。米国留学を経て同大学の熱帯医学教室講師となる。現在は海外勤務健康管理センター・研修交流部長として、海外渡航者の診療にあたっている。東京慈恵会医科大学、慶応義塾大学などの非常勤講師を兼務。旅行医学の全国組織「海外渡航者の健康を考える会」理事
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感想・レビュー
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だ~しな
1
ハンセン病関連の研究ついでに読了 病気が人種移動を通じてどう拡大し、人々はどう対抗してきたかという病理史であると同時に海外旅行の多い日本人においてトラベルクリニックと事前予防の大切さについて警鐘を鳴らす作品 近代以前は戦争とは遠征という大移動であり、そうした事から得た知見が後の旅行医学と繋がっていき、また軍事や業務においての疫学の重要性について気付かされる 海外旅行を志している人間なので事前予防については頭に入れておかねばと感じたり 新しい観点から歴史と旅行を見られる著作である2015/12/06
ハヤブサの竜
0
さらっと読めた。まあ新書だしな2013/05/24
yanapong
0
充実した旅に重要な要素でありながら、我々日本人にはあまり馴染みのない旅行医学の歴史と現状について。2011/01/12
ミキ
0
2019-25:興味深い2019/03/30