内容説明
これまで浮世絵春画は、ともすれば誇張された性器の表現ばかりが注目され、たとえその芸術的価値を認める者であっても、春画=男性用のポルノグラフィであることには疑いを持たなかった。しかし、図中に書き込まれた「詞書」「書入れ」などと呼ばれる文章を読み解けば、まったく異なる世界が拓けてくる。それは、江戸人の多様な「愛のかたち」を、和歌や漢詩といった古典の世界に「見立て」て楽しむ、高度な表現形式をもつ芸術であった。
目次
第1章 浮世絵春画の特色
第2章 鈴木春信という絵師(春信とその周辺;春信の見立絵)
第3章 『風流座敷八景』―絵解きの楽しみ(『座敷八景』の見立て;『風流座敷八景』の絵解き)
第4章 『風流艶色真似ゑもん』―色道修行の旅(『風流艶色真似ゑもん』前編の絵解き;『風流艶色真似ゑもん』後編の絵解き)
第5章 『今様妻鑑』―漢詩の春画見立て
著者等紹介
早川聞多[ハヤカワモンタ]
1949年生まれ。東京大学文学部哲学科卒業、大阪大学大学院修士課程修了(芸術学)。大和文華館学芸員、国際日本文化研究センター助教授を経て、現在同センター教授。専攻は近世日本美術
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感想・レビュー
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Koning
28
もともとは英文論文を和訳したものを新書に入れる段で編集部が歴史的仮名遣いから現代的仮名遣いに改めたものらしい。で、新書です。巻頭に風流座敷八景と風流艶色真似ゑもんがカラーで紹介されているけれど、1ページあたり2葉なので、残念ながら詞書は読めない(というか春画お約束の局部の描写を潰して一般向け図書として大丈夫かも?というレベルに持って行きたかった編集の魂胆なんだろうか?)。なので、実際の絵は別途画集なりを探してくださいという感じ。前述2作に加え墨摺の今様妻鑑の3作を取り上げそれぞれの見立てを解説している2015/12/01
かねかね
1
図版があまり良く無いですね。線もぶれてるし。見立ての解説は面白かったです。江戸人は男性も女性もおおらかで魅力的です(笑)現代人よりもカッコいい生き方だぞ!2010/06/18
幽寂庵
1
鈴木春信の春画解説本、図版がもう少し美しければ良いなぁ。
lovejoy
0
★★★★2023/05/27