内容説明
在日韓国人が日本で生活していることに深い意味や特別な意味はない。在日の一世たちは朝鮮半島よりは日本を生活の地として選択したのであり、その子孫である私たちもそれを受容しているだけのことである。つまり、在日韓国人は「永住外国人」などという宙ぶらりんな存在としてよりは、日本国籍を取得して、この社会のフル・メンバーとして生きていけばいいのであり、そのために必要なら帰化手続きの弊を指摘すればいいのである。本書は在日が存在理由をなくすために書いた本である。
目次
第1章 アイデンティティと帰属
第2章 在日の特異な状況
第3章 帰国と帰化と在日の歴史
第4章 なぜ韓国籍を維持しているのか
第5章 説明責任の問題
第6章 永遠の外国人でいいのか
著者等紹介
鄭大均[テイタイキン]
1948年岩手県生まれ。立教大学とUCLAで学ぶ。啓明大学校外国学大学副教授(韓国大邱市)などを経て、現在東京都立大学人文学部教授。民族・国民集団間の眺め合いを研究テーマにする
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感想・レビュー
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サブロウ
2
在日朝鮮韓国人について、帰化論を唱えることは結構憚られるが、そこに切り込んだ本。 アイデンティティ•ナショナリティの問題はもはや失当していて、2、3世以上でもそこに固執することは、ほとんど日本人な韓国人といういびつな構図をいつまでも温存すると同時に当事者のアイデンティティーの問題を複雑にさせることになるため、積極的に帰化することを薦める。 民団や総連が、朝鮮人への権利拡大の動き(同化政策)や帰化に対して、かなり批判的な立場をとっていたが、権利拡大には積極的になっているという変遷を抑えることは重要だろう。2021/08/04
lovekorea
2
一言でいうと、『在日コリアンは(彼らのためにも)帰化した方がええんや( *・`ω・)っ』という内容の本でした。 賛否はまああるんでしょうけど、在日コリアンの特に若い人たちに読んで欲しいなぁと思いました。 ボク自身、ベクトルとしては氏の主張に近い考えを持っていて、己の人生において実践しているつもりです。2014/09/11
undine
1
在日韓国人の中途半端な状況を解決するには、帰化することが良い、というのがメッセージ。確かに何世代にもわたって異国の国籍を保持したまま暮らし続けることは不自然だ。それを許す日本も腰が引けている。姜尚中氏に対して批判的なスタンスだが、きちんとその理由が述べられているので腑に落ちる。本が書かれてから20年経つが、いまだに外国人参政権など言っているのは残念だ。国民国家という枠組みがある中で、原則に則ったあり方を通じて中途半端な在日韓国人というものの存在を整理すべきだと思う。2023/07/27
偽教授
1
「帰化すればいいじゃん」という身も蓋もない結論に始まり、同じ結論に終わる。実際に帰化した人が書いているという点が一番重要だが。2011/12/16
plegiussalignis
1
元在日・現コリアン系日本人として過ごしている人の視線で描かれた一冊。日常的に聞く在日論の多くが誤謬にまみれていると気づかされる。2011/11/01