出版社内容情報
酒、ギャンブル、薬、買物…何かに依存したいのはあなただけじゃない。時代に振り回された挙句に行き詰まった日本人共通の病なのだ
内容説明
酒、たばこ、薬、買い物、ゲーム、ギャンブル…快楽は、我々が不安や悩みから束の間逃れ、明日をよりよく生きるためのセルフコントロールの手段だ。しかし、これらが悪習慣化した「依存症」は周囲、とくに家族を巻き込み、悩ませ傷つけるだけでなく、のちに何らかの子どもの問題行動として噴出することがあり、人間関係障害、家族病とも言われている。「依存症」とは、時代の要請に応え、走り続けようとした日本の「近代」の陥穽、家族共通の病なのである。
目次
第1章 アルコール依存症
第2章 依存症と嗜癖
第3章 経験から
第4章 アダルト・チルドレン
第5章 回復という希望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
67
依存症の回復、共依存の概念と関係性のメカニズムを解き明かす新たな視点、それはフェミニズムと言う社会学的視点を精神医学に持ち込んだ斬新な依存症回復へのアプローチとしての第一歩となる著書だった。2013/07/20
ネギっ子gen
63
【依存症とは、別世界にあるものではなく、よりよく生きようとする姿勢の延長戦上にある】近代家族を蝕む、依存症という「病」を読み解く本。著者は書く。<従来の価値が崩れ出した時、変化はまず微小な人間関係から始まる。/愛情と親密さといった、美辞麗句で包まれた関係が、支配と所有に転化している。そして、さまざまな行為が歯止めを失ったかのように、止まらなくなってしまっている。それを個人の内面、病理ではなく、嗜癖、依存症という視点から捉えると、なんとはっきり見えることだろう>と。平成12年刊の新書だが、読み応えあった。⇒2023/04/28
キムチ
36
当事者の会、研修会、事例検討会・・等々で決まって読み合わせされていた時が有った信田氏の著作。一回読んだだけでは咀嚼不可能。人により 好き嫌いが多いと思われる。当事者サイドに立ち、受容のスタイルをキープ、救いになるフレーズをリフレインしてほしいタイプの人には、絶対、ラジカルに伝わってしまいそう。と言って信田氏の価値は減殺されず、アルコール依存症、児童虐待、アダルトチルドレン等の入門編として読むのはお勧め。治療の指針というより、信田氏の進化を遂げて行ったプロセスを垣間見る事が出来る本と言った方が合致するかも。2012/07/31
ゆう。
32
依存症について、著者の臨床などにも基づきながら述べられている。けっして自己責任とはしない著者の姿勢には学ぶところが多かった。近代資本主義社会と依存症とのかかわりも考えることができた。依存症で苦しむ人がいるからこそ、その依存症から社会を見る目を養いたい。2020/03/01
水彩
16
病気ではなく嗜癖。考え方であって、回復への道筋は示されてなく。もう一つ踏み込んでほしい。2018/06/02