文春新書
性的唯幻論序説

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  • サイズ 新書判/ページ数 278p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784166600496
  • NDC分類 367.9
  • Cコード C0295

出版社内容情報

「本能の壊れた動物」人間は、多様な性文化を生んできた。資本主義の成立もその視点から説明できる。性と文明に関する画期的論考

内容説明

「人間は本能の壊れた動物である」と著者はいう。したがって性交も本能ではできない。人類は基本的に不能なのである。しかし不能のままでは人類は絶滅する。不能を克服するため、人類は本能ではなく幻想に頼らざるをえなかった。人類において性にまつわる一切は幻想であり、文化の産物なのである―との視点から、性差別の起源、売買春、恋愛と性欲、資本主義と性、などの諸問題に根本的メスをいれる。目からウロコが落ちること、うけあい。

目次

第1章 すべての人間は不能である
第2章 男の性欲は単純明快である
第3章 文句を言い始めた女たち
第4章 女体は特殊な商品である
第5章 「女」は屈辱的な役割である
第6章 母親に囚われた男たち
第7章 「性欲」の発明
第8章 「色の道」が「性欲処理」に
第9章 神の後釜としての恋愛と性欲
第10章 恥の文化と罪の文化
第11章 資本主義時代のみじめな性
第12章 性交は趣味である

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

14
キリスト教徒の性的な精神分析はなされていたが、それ以外の宗教についてはほとんど触れられていない。日本人にとって、キリスト教における唯一神のような存在はなかったはずなので、そのあたりを考えてみたい。2013/03/07

北条ひかり

7
7時間24分。点字データ。島根ライトハウスと点訳者さんに感謝。人間は本能の壊れた動物であり、人間は基本的に不能であるため、本能では性交できない。だが、不能のままでは人類は滅亡してしまうため、(共同)幻想を構築した。マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を援用し、「性欲」を発明して種の保存と資本主義の発展を促した。その結果、女性が屈辱的な役割に貶められた。・・・とする。同著者の「ものぐさ精神分析」の各論に該当し、相変わらず非常に面白い立論の仕方である。2016/12/29

marmelo

5
全12章中、第1章を読み終えたところで挫折し、読了できなかった。著者は「人間の性本能は壊れている」という持論を展開していくのだが、読み手がその論旨に説得されないとき、それは著者の持論のゴリ押しのようにしか感じられず、私は苦痛を感じるだけだった。岸田氏はこの持論を哲学者 竹田青嗣との対談集『現代日本人の恋愛と欲望をめぐって』でも提示しているが、竹田氏は岸田氏に対して反論しており、私にとってその対談集ではやはり竹田氏の論調の方が受け入れやすかった。2017/01/24

うさぎさん

5
コンプレックスをがんがん刺激してきて辛くもあり興味深くもあり、たいへん面白い一冊だった。 人類は全員不能であるという主張から、文化的背景に基づき、性の抑圧からの開放を説く。 救われた気がした。2016/02/10

Yukicks

4
エロスに違和感を感じている方は読んでほしい。生きやすくなると思う。 ものぐさ精神分析(http://fightsuperego.blog.fc2.com/blog-entry-20.html)の性の部分について詳細に考察した本。  人間は本能の壊れた動物であるとの仮説から性について歴史,文化を超えてぶった切っていく。 人間にとってエロスとは幻想の産物でその幻想は時代を支える経済的枠組みが変われば内容も変貌する。2012/06/16

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