出版社内容情報
「ないものねだりの高のぞみ」と定義する自らの性格について爽快に語る。印象的な紀行文や、淡々と喜びを語る直木賞受賞の言葉も。
目次
本屋の女房
楠
夜中の薔薇
おの字
分身
編む
牛の首
桃色
質問
言いわけ
四角い匂い〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さゆ
29
私たち日本人にとって特別な時代、昭和の息吹が全編から感じられる。良くも悪くも昭和という時代には勢いがあった。そして日本人としての矜持をみなが大事にしていた時代だった。「男のやさしさは袷仕立てだと思います」こんな言葉も、もはや実感として理解してもらえない時代になってしまったように感じる私は、あきらかに昭和の子なんだなあと思う。向田さんがあの事故で亡くならなかったら、もっとたくさんドラマを書いてくださっただろう。そのドラマを観たかったなあとつくづく思った。2013/04/27
yyrn
21
昭和50年から62年までに新聞や雑誌に掲載された小中編のエッセイがまとめられている本。戦前戦後の昭和を思い起こさせる話が多く、夜な夜な布団の中で読んで(身辺雑記を含めて)私にはとても楽しかったが、向田邦子は昭和4年生まれなので、私の父母の世代だが古臭さを感じさせないところが名エッセイストと言われた所以か。なお、1話1ページの短さのモノはそれほど心に残る話は少なく、少なくとも見開き2ページ以上の分量がないと、心にしみる、腑に落ちる話とは感じられなかった。さすがの名手も、短文ではオチが付けられなかったかw。2025/09/20
ぐうぐう
16
彼女は、人々が抱く向田邦子という人間に対するイメージを、覆したいという思いがあったのではないか。エッセイを読んでいると、そんなことを感じる。どん臭いキャラを強調したり、反対に強い女をさりげに伝えてみたり。この意外性は、彼女が優秀なシナリオライターであることの証しとも言える。読者の期待を心地よく裏切りたいという、作家性の表れというか。そして同時に、人間は決して一面では理解できないという、彼女のドラマの真髄とも繋がっている。2010/08/18
ひさしぶり
9
エッセイ 夜中の薔薇「焦げ癖」フライパンの焦げが人間と同じかもと。丁寧に焦げを落とし、もう大丈夫と思っていると、また同じところを焦がしてしまう。一度焦げ癖がついてしまうと、もとにもどるには時間と努力がいる。ウンウン。「食らわんか」10代お腹いっぱい食べることが仕合わせ。20代ステーキとうなぎ。30代フランス料理と中華料理。40代日本料理。量より質。いきつく先はうちで自分一人で食べるものは安くて簡単なもの。そうそうシンプルイズベストなのよー!流行り言葉や人物をネタにすると賞味期限短かくなると変に心配する2019/06/10
なみ
6
再読。大学時代に向田邦子の作品と出会ってから、夢中になってエッセイ、小説、シナリオなどを読んできた。この『夜中の薔薇』も何度か読んでいるはずだが、当時はあまり印象に残らなかった最後の三篇「手袋をさがす」、「時計なんか恐くない」、「女を斬るな狐を斬れ」が、今回はやけに心に響く。22歳の向田邦子は、納得のいく手袋が見つかるまで妥協しないと冬の夜に決心をしたのだが、27歳のわたしはまだそこまでの境地に達せずにいる。2015/01/06
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