出版社内容情報
各エッセイのタイトルとその始まり方の「遠さ」! 話題の連射と展開で、読者の予想を次から次へと快く裏切り続ける名人芸をお楽しみあれ
目次
豆腐
寸劇
助け合い運動
傷だらけの茄子
浮気
無敵艦隊
女地図
新聞紙
布施
引き算〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
15
人間を観察した結果としてのエッセイという意味では、前作の『無名仮名人名簿』と同じスタイルと言えるのだけれど、この『霊長類ヒト科動物図鑑』には、向田邦子の作家としての貫禄が漂ってる。人間や出来事を考察する深みと、作家としての巧みさが溶け合い、おかしみの中に存在する唸るようなうまさが、読む者を虜にする、そんなエッセイ集だ。2010/07/17
tae
8
ほぼ、初めて読む文章だった。一番記憶に残っているのは、 原稿が書けない理由の「パンタロンのゴムがきついの」っていう所。なんて、チャーミングな女性なんだろう。また読みたい。2019/06/23
tae
5
やはり、向田邦子は上手いなあ。2019/06/04
よし
3
「手のつかぬ月日ゆたかや初暦」「初暦知らぬ月日は美しく」(吉屋信子) 「七輪」(物を煮るのに七輪の炭で足りる意から) 「とげ をねくのに一番いいのは セロテープをくっつけることである」「 スーパーちいうシステムを作った人は誰かというと、 それは スーパーマンである」2025/02/22
ゴロチビ
3
どこから読んでも、どこでやめてもいい手慣れたエッセイ。そのせいか、読了まで思わぬ時間がかかってしまった。前巻でも感じた、対象に注がれる冷徹な眼とそれを表現する突き放したような筆致をこの巻でも感じた。「声変わり」では相手に応じてガラリと変わる女の態度。「ヒコーキ」のあまりにも粗野な田舎っぺ集団。自分がその対象になったような気がして、思わず首をすくめた。ユーモラスに、いつも自分を落として書いているが、実は都会生まれの才媛で筆一本で身を立てているというプライドが滲み出て見えるのである。田舎モンの僻みだろうけど。2016/09/15