目次
潰れた鶴
金襴緞子
眠る盃
「あ」
伽俚伽
噛み癖
夜の体操
宰相
字のない葉書
桧の軍艦〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
58
毎日を丁寧に過ごされていた方だと、お見受けします。川の水のように流れて行く日常を切り抜き、膨大なスクラップで埋め尽くされていたであろう、向田さんの心のアルバム。さやさや思い出を語り、からから思い出し笑い。時にしくしくちくちくと、心で泣いて抱きしめる。ちゃぶ台を囲んで食後のお茶一杯。湯気の向こう、瞳を輝かせた向田さんがすぐそこに見えます。本書は『眠る盃』として文庫になっています。2015/01/24
ごま
9
母がドラマを好きだった。だから若いうちは、向田さんはまだ早いだろうとずっと思っていた。時期が来たのかこの秋すうっと吸い寄せられるように選んだのはエッセイ。時代が過ぎてややイメージ出来ないこともあるが、文面を追うごとにこの魅力的なお姉さんと直接お喋りをしている気分になる。もっともっと読んでみよう。素敵な女性の証を丁寧に辿りたい。2016/11/20
ぐうぐう
6
彼女のシナリオがそうであったように、エッセイも書くごとに巧みさが増していくようだ。それでいて、どこか初々しさが滲み出ているのは、彼女のエッセイには、どれも愛嬌が感じられるからなのかもしれない。悩みに悩み、収録にも間に合わないこともあったとされるシナリオの遅筆は有名だが、エッセイは嬉々として彼女が楽しみながら書いている様子が目に浮かぶ。そんな軽やかな、しかしうまさが光る、第二エッセイ集。2010/04/16
うとうと
5
絵本『字のないはがき』のもとのエッセイが読みたくて。絵本より生々しかった。 半分ほど読んだところで返却期限。また今度続きを読みます。2021/02/27
ZEPPELIN
4
自分の来し方に思いを馳せた時、全ての経験が良い思い出に変わってくれているわけではない。そんな懐かしさと哀しさが混じった記憶の描写が向田さんは本当に上手い。「鹿児島感傷旅行」を読んでいるこちら側も、生まれてない時代の行ったこともない鹿児島という場所に、なぜか強い郷愁を覚えてしまう。かと思えば、痴漢に遭ったというエピソードから教訓を得てみたり、この辺の感性はとても真似出来ない。他にも文章になっていない出来事がたくさんあるはず。無理な願いではあるけれど、向田さんと一度でいいからお話をしてみたい2014/07/01
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- 和書
- まほら 〈53号〉 驚き