感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あまみ
15
石原慎太郎氏の小説は恐らく初めて読んだ。初めは少し構えて読んだ。どの短編ものめり込むほど引きつけられなかったが、読後感は、胸につっかえるというか、すっきりしなかった(悪いということではない)。 2025/01/08
yamikin
6
今どき石原愼太郎の文学作品を読む人ってたぶん「ちゃんと読んでみた」って理由で読んでる人が大半なのだと思う。かくいう自分もそれだ。石原を巡る言説は量産されているのに、肝心の石原作品へのフォローが全然されてこなかったのだ。『太陽の季節』『完全な遊戯』どちらも育ちのいい私立高校生(大学附属っぽい、慶應とか)のリア充DQN遊びライフを生き生きと描いている。根暗がマジで根暗な思弁を綴ったものが大半だったであろう当時の文学とは明らかに違った領域に足を踏み入れているし、その点が評価されたとしたらそれは間違ってないと思う2013/10/30
パム
0
凄いものを読んでしまった。彼の言動にも滲み出ているが、これを読んで確信した。石原は本質的にニヒリストでアナーキストだ。だからこそ、逆説的にロマンチシズムとナショナリズムの人でもある。石原嫌いの人も、読まず嫌いせずに一度読んでみたらいい。巻末の中森明夫による解説(石原慎太郎論)も圧巻。愛されてる人間は、他人に幻想を抱く必要のないニヒリストになるよな…。2013/06/21
山島 小吉
0
一日約一本慎太郎全集の短編を読む戦いが終わった!良かったのは「太陽の季節」「北壁」「透き通った時間」「完全な遊戯」。太陽の季節の倫理破壊感はそのまま処刑の部屋、完全な遊戯とつながり昇華して行っていた。全体を通して悪文がだいたい目障りだったけど、一部は目障りに感じずむしろむちゃくちゃうまいと思ったし、その悪文自体が作品のぐらつきにうまく作用しているなと感じた。あと女を括弧付きの女としてでしか書いておらず(かけないのか?)、だから恋愛の描写がやっすいメロドラマみたいになってたけど、そういうところも好き。2012/11/27