出版社内容情報
「倉橋由美子の小説作法」「倉橋由美子の小説批評」「倉橋由美子の性と死」。熱烈な愛読者が選ぶ毒にも薬にもなるエッセイ30数篇。
内容説明
二十代で鮮烈な文壇デビューを飾った頃から晩年まで、氷のように美しい文章で毒薬のように効くエッセイを書いた人。透徹した思考の痕跡を辿る三十一篇。
目次
第1部 倉橋由美子の小説作法(性と文学;純小説と通俗小説;インセストについて ほか)
第2部 倉橋由美子の小説批評(『倦怠』について;「綱渡り」と仮面について;青春の始まりと終り―カミュ『異邦人』とカフカ『審判』 ほか)
第3部 倉橋由美子の性と死(田舎暮し;ある破壊的な夢想―性と私;女と鑑賞 ほか)
著者等紹介
小池真理子[コイケマリコ]
1952年、東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。96年、『恋』で第114回直木賞を受賞。2006年、『虹の彼方』で第19回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつこ
45
今のところ読んできた「精選女性随筆集」シリーズの中で1番文章が男っぽいと感じました。追悼文を書いた三島由紀夫と吉田健一。この二人の影響なのかもしれません。戦後なのでそれなりの風潮はあったかもしれませんが、結構考え方が現代的で恐らく当時でもまだ先端だったのではないでしょうか。面白いと思ったのは結婚観。「主婦の仕事」で【もの】とつきあうか(包丁や片付け)【ひと】とつきあうか(社会に出ること)。日本はだんだん【ひと】にはなってきたがそれが内向きで・・・。社会派というあらたな魅力の女性随筆でした。2015/10/07
佐島楓
24
やはり私はこの方は、怖いと思う。どうしてだろう、いつも鋭利な刃物のようで、物事を俯瞰し、超越しているイメージ。この随筆集を読んで、そのイメージが変わらないことを改めて確信した。怖いというのは、惹かれているということとあまり変わらない質のものでもある。こういった思索を小説に昇華できるような人になりたい。2013/05/10
ぐうぐう
16
通常エッセイとは、小説では知ることのできない作家の生の姿を私生活を通して伝える術としての身辺雑記という意味合いが大きい。しかし、倉橋由美子のそれは違う。彼女は私小説を嫌ったように、私生活を晒さず、あくまで小説と小説を書くことについて語るのだ。そこから伝わってくるのは、彼女の小説に対する独特な考え方だ。彼女は言う。「(略)小説とは、《ことば》によって、またあらゆる非文学的な要素を自由に利用して、《反世界》に《形》をあたえる魔術である。」と。(つづく)2012/12/09
ぐっちー
12
精選女性随筆集3冊目。1.2巻にて取り上げられた作家は、明治生まれ特有の強さとしなやかさを持った女性達だった。竹のような風薫る颯爽。ところが倉橋由美子は夜の香のする、玉鋼。硬質で、見てはいけないけれど目を背けてはいけない世界。そんな気がしていました。この人の小説が読みたい。2015/03/31
里馬
5
全部集めよう2017/05/07