出版社内容情報
森茉莉一流の“贅沢論”、食のエッセイ、婚家での暮らし。吉屋信子の同時代の女性作家たちへのオマージュ。流麗な文章の醍醐味。
内容説明
鴎外のあふれる愛情がはぐくんだ森茉莉の豊饒な想像力の世界。“少女小説家”吉屋信子の観察眼が光る女性文人とのユニークな交遊録。
目次
森茉莉(幼い日々;好きなもの;三つの嗜好品;エロティシズムと魔と薔薇;最後の晩餐 ほか)
吉屋信子(逞しき童女―岡本かの子と私;純徳院芙蓉清美大姉―林芙美子と私;與謝野晶子;底のぬけた柄杓―尾崎放哉;本郷森川町 ほか)
著者等紹介
小池真理子[コイケマリコ]
1952年、東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。96年、『恋』で第114回直木賞を受賞。2006年、『虹の彼方』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつこ
51
森茉莉。見えたものを好きなものを自分の感性で好きなようにエッセイに綴っていました。庶民と金持ちの話や、食べても美味しく漢字で書いても綺麗な食べ物や花など話など。耽美とはを見た気がします。また三島由紀夫の死については雰囲気は一変して寂寥感が漂っていました。一方、吉屋信子。出会った魅力的な人たちを記憶に残った部分を文章にしていました。岡本かの子さんの目を黒真珠。宇野千代さんの恋愛奔放さ。加えて「馬と私」の馬主である話も面白かったです。二人の対照的な内容でしたが、どちらも見る目が確かなので心地よかったです。2015/09/13
キムチ
36
こういった「日本の文字」に触れると姿勢がしゃんとしそう。森さんは素敵な言葉をたくさん紡いでいらっしゃる。2009/06/26
ぬらりひょん
15
森茉莉の作品を初めて読んだ。というより、彼女の目を通して見る森鴎外を初めて知ったというべきか。うわさには聞いてたけど、すごいお嬢様ぶり。ため息がでちゃう・・・。文章も独特。2014/12/17
ぐうぐう
14
惹き込まれる随筆とは、もちろん文章のうまさもあるのだが、それ以上に、いかに対象についての情感が強いかも大事な要素であることが、森茉莉を読むと痛感させられる。選者の小池真理子が書いているように、茉莉の父・鴎外に対する情愛は、まさに狂おしいほどに強い。それでいて、彼女のエッセイはまるでひとりよがりなものではなく、その強さが素直に読む者に伝わってくるのだ。そして、父と居たあの空間、あの時代が、まったく関わりのない私達にも、愛おしくすら思えてくる。それは、吉屋信子の他者への強い関心にも言えることだ。2012/08/20
りりす
13
読んだことのある随筆をピックアップしたもの。2017/11/05