出版社内容情報
日本の黒い霧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
16
1940年代後半に発生した事件を集め松本清張が推理を行ったものである。取り上げられた事件の真犯人は今日でも判っていない。 GHQは当初、天皇制解体と大東亜戦争協力者の追放を目的としていた。しかし中国での社会主義革命成功が、それを許さなくなった。しかし表向きに方向転換できないGHQ(特にG2)は、戦争体制を醸成する動きを密かに開始していた。その障害となったのが日本の共産主義者たちだった。彼らを追い落とすために仕組まれたのが、これらの事件だったと清張は解釈するのだ。 2020/04/06
ナハチガル
9
どうも松本清張は肌に合わない。いわゆる推理小説が合わないのかもしれない。膨大な情報や証言や証拠を何度も提示しつつ、さまざまな角度から検討しながら細かく細かく推理していくというスタイルがまどろっこしくてしょうがない。しかし、このテーマを扱った類書でめぼしいものが他にないので、なんどもなんどもあきらめようと思いながらも、がんばってがんばって読み通した。勉強にはなったけど、楽しめたとはいいがたい。でも『昭和史発掘』も読むつもり。どないやねん。A。2019/12/29
冬薔薇
2
下山事件と木星号事件を読み終わって、清張探偵の推察は面白いが、さすがに字が小さ過ぎてここまででギブアップ。2018/04/27
うさえ
0
清張全集第30巻。米軍占領下の日本で実際に起こった怪事件の数々について、それぞれに関わる膨大な資料を読み解き、背景にあるものを追及したドキュメンタリー。下手な推理小説より、断然読み応えあり。政治の私物化が異常なほどあからさまに行われ、しかもその事実に多くの人たちが無関心(もしくは敢えて目を背けた状態)でいられる「日本」という国の現在を考えるにあたり、たいへん参考になる。ただ、読了後、闇の深さ(かつ、権力者の顔こそ異なれ、闇自体は半世紀以上も連綿と受け継がれているという事実)にかなり落ち込む。2023/06/20
eijit
0
戦後の GHQ 占領下の日本で起きた不可解な事件について、松本清張の考察が詳しく展開されている。多くの事件で、集められた情報を丹念に見ていくと、米ソ対立による謀略に巻き込まれたと考えると不自然な部分が解消される。これらは、限られた地域の限られた期間の出来事に過ぎないが、それでも公式の記録とされるものの背後には、これだけ多くの異なる事実が隠れているようである。そのほかの歴史の出来事についても、決して明るみには出ない、異なる事実があるのだろう。2020/11/09