出版社内容情報
既刊十二巻に引きつづき、第九十二回までの受賞作「夢の壁」「佐川君からの手紙」「杢二の世界」「光抱く友よ」「青桐」を収録刊行
内容説明
終戦前後、日本人少女と中国人親子の交流を清冽に描き上げた加藤幸子氏の「夢の壁」。現実の事件を引金に自由な劇的空間を遊泳する唐十郎氏の「佐川君からの手紙」。無気力な弟を追憶しつつ生の儚さを追究した笠原淳氏の「杢二の世界」。非行に染まる女子高生に近づく優良女生徒の友情を通して揺るぎない人間観を明示した高樹のぶ子氏の「光抱く友よ」。診療を一切拒否して癌にたおれる叔母への心の揺れを丹念に追った木崎さと子氏の「青桐」。第88回‐第93回受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
117
加藤幸子「夢の壁」、唐十郎「佐川君からの手紙」、笠原淳「杢二の世界」、高樹のぶ子「光抱く友よ」、木崎さと子「青桐」。女性の活躍がめざましい。夢の壁は、芥川賞でなくても読んでよかったと思えた。該当者なしの際の手厳しい批評を見ると、受賞を逃した作品を読みたくなる。2014/01/29
うぃっくす
1
夢の壁→そつなくまとまった話という印象。佐川くん〜→劇作家である作者らしい奇想天外な話。娯楽として面白い。あとオチが好き。杢二の世界→嫌いではない。なんとなく文学っぽい。 光抱く友よ→ふと気づいたけど選考委員全員男性なんだ。だからこの話への評価がイマイチなのかな。この話この年頃の女の子の様子上手く描いていると思った。 青桐→これは久しぶりのスマッシュヒット。構成、登場人物、情景どれもすごくよかった。長いけどもう少し読んでたかった。 2017/10/10
かっこ
0
唐十郎って多才な人だな。ふつうに俳優なんだと思ってた。巻末、選考委員のため息ばかり聞こえてくる。1年に一度でよかったのに。最近は当選作ナシなんてないけど、これは作家の質がよくなっているのかそれとも甘くなっているのか…2022/05/07