貝殻航路

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貝殻航路

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  • サイズ 46判/ページ数 120p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163920757
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

北方領土を間近に望む土地に生まれ、漁師の父に育てられた主人公は、アイヌにルーツを持つ夫と結婚し釧路の街に移り住む。

アラスカからの豪華客船が釧路に寄港するというニュースの一方で、ミュージシャンの夫は行き先も告げずに家を出た。
倦んだ孤独をひとり抱えるわたしは、幼いころに父と見た貝殻島のことを思い出す。

「カイカライ。波の上面低いもの、という意味で、満潮になれば水没してしまうちっぽけな島だよ、日本では貝殻島、カイカライはアイヌ語ね」

北方領土という戦後史にひっそり佇む貝殻島の灯台、かつて海上の国境を越えロシア船に拿捕された父、静かに民族の記憶をつなぐ夫とその妹――いくつものかすかな光が敷きつめられた貝殻島への航路とは。

北海道東部、道東と呼ばれる土地の風土を細やかに描き、そこに暮らす人間の内奥に迫る野心作。

選考委員から高い評価を得た第174回芥川賞候補作。


【目次】

内容説明

ロシア船に拿捕された漁師の父はあの日以来、海に出なくなる。アイヌの血を引く夫は行く先も告げずに家を出た。孤独と過去の痛みに苛まれる主人公のもとに、義妹が届けた報せ―「貝殻島の灯台が修復されてる」。道東の風土と記憶を呼び覚ます繊細な物語。第174回芥川賞候補作。

著者等紹介

久栖博季[クズヒロキ]
1987年、北海道生まれ。弘前大学人文学部卒業、同大人文社会科学研究科修士課程中退。2021年、「彫刻の感想」で第53回新潮新人賞を受賞。23年発表の「ウミガメを砕く」で三島由紀夫賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

149
第174回芥川賞受賞作&候補作第四弾(4/5)、今回は候補作です。文藝春秋社刊ではありますが、淡々と読了し、あまり残らない感じ、この内容では受賞が難しいと思います。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639207572026/04/19

hiace9000

111
釧路に立ち込める濃い霧ー。乳白色の向こうに静かに横たわる自身の過去から続く未来への「航路」を、美文テイスト溢れる静謐な筆致で綴る純文作品。国土東端の根室から望む北方領土の島々のひとつ貝殻島。地球儀上の「空白」が登場人物である父や夫・あまみやの存在感とも重なる。義妹・夕希音や曖昧で儚すぎる主人公のわたし(凪)の姿は、使っている車の描写とも象徴的に重ね合わせているようにも。霧の中で見失いがちな人生の航路は、誰かに意識され始めて実存として浮かび上がる―曖昧で朧げな情景を掬い上げるように描いた作品だった。2026/06/03

えりまき

18
2026(124)第174回芥川賞候補作。北海道の納沙布岬の先、ロシア領にある貝殻島の貝殻灯台。アイヌ文化と北方領土問題。根室市行ってみたい。2026/6/2UHB北海道文化放送「貝殻島付近のコンブ漁が始まる」。 2026/05/24

mitubatigril

14
あらすじを紹介してたサイトで確認して読んで見ようと図書館から借りたけど うーむ サクサクは読めるけど やっぱり自分は芥川賞系の作品はどこかピンと来るものが少ないなぁ2026/04/22

もずくもどき

4
北方領土を臨む海辺の町に育った凪は、アイヌの血を引く男と結婚し、釧路へ嫁いだ。ロシアに拿捕され心を病んだ父を故郷に置いて。数年後、そんな父の死をきっかけに、凪は故郷を訪れる── 未だ議論が続く北方領土の問題を主題にしていると聞き、てっきり政治的な要素の濃い作品かと思っていたが、それだけに回収されないとても叙情的な小説だった。 その土地に暮らした人々の想いは、時代を超えて、壊れたはずの灯台に光を宿す。海原に漂う菊の花や、砕かれた貝殻の欠片など、幻想的なイメージと端正な文体が織りなす作品世界がなんとも魅力的。2026/05/12

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