出版社内容情報
芥川賞受賞作『ハンチバック』を超える衝撃の第二小説集!
「何でもいいから何かを撃ち殺したい」
難病と生きる身体から放たれる言葉が現代を撃つ。
「おねえちゃまへ。元気ですか」
筋肉の難病を患う主人公ガゼルと、同じ病気を持つ姉との関係を描く表題作に、性差別主義的な哲学者を信奉する女子大学院生が三島由紀夫原作のAVに出ようとする「オフィーリア23号」を併録。
【目次】
内容説明
筋肉の難病を患う主人公と、同じ病気を持つ姉との関係を描く表題作に、性差別主義的な哲学者を信奉する女子大学院生が三島由紀夫原作のAVに出ようとする「オフィーリア23号」を併録。
著者等紹介
市川沙央[イチカワサオウ]
1979年生まれ。早稲田大学人間科学部eスクール人間環境科学科卒業。筋疾患先天性ミオパチーによる症候性側彎症および人工呼吸器使用・電動車椅子当事者。2023年、「ハンチバック」で第百二十八回文學界新人賞を受賞しデビュー、同作で第百六十九回芥川賞受賞。『ハンチバック』は二十四の国と地域での翻訳が決定し、英国の国際ブッカー賞のロングリストにも選出された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
167
市川 沙央、芥川賞受賞後第一作です。本書は、中編+短編の2作品、芥川賞受賞作『ハンチバック』を超える衝撃との触れ込みですが、『ハンチバック』を超えていないと思います。 表題作よりは、『オフィーリア23号』が好みです。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639202142025/10/18
pohcho
61
「オフィーリア23号」「女の子の背骨」の二編。「オフィーリア」は読みづらくて途中でやめようかと思ったが、なんとかがんばって読了。最後に平和の少女像出てきてびっくりしたけど、結局よくわからないままに終わってしまった印象。「女の子の背骨」の方がまだしも読めたかな。姉妹で同じ生まれつきの病気を持っているけど、姉の病状は重く妹は軽い。妹も同じ病気というのがわかりにくく感じた。2025/10/16
道楽モン
47
田中康夫が『なんとなくクリスタル』で用いた方法論のアカデミック版!?。全編に散りばめられた多くの記号と、「これ分かります?」的な引用のパッチワークは、かなり戦略的な匂いを感じる。「JAGUARをジャギュアと発音するのはキモい」なんて大江健三郎じゃないですか。埴谷雄高や三島由紀夫の導入なんぞは、純文学大好きな人には堪らないだろう。こうしたアイコン達を、現代の文脈に配置することで教養あふれた品格と、先鋭的な思想(LGBTや反パターナリズム、反ルッキズム等)との融合を成す。まさに2020年代を表現した短編2作。2025/10/17
ぽてち
29
芥川賞を受賞した『ハンチバック』から2年振りとなる第二作品集。「オフィーリア23号」 と「女の子の背骨」の2篇を収録している。「オフィーリア23号」は、性差別主義的な哲学者の生まれ変わりと称する女子院生が、恋人と三島由紀夫の「憂国」を映像化しポルノサイトで配信しようとする話。ぼくは『ハンチバック』のレビューに「文学的になんちゃら」と偉そうに書いたが、本作のほうがよほど純文学っぽいなと思った。芥川賞候補になるかはわからないが。「女の子の背骨」は、難病を患う主人公とさらに症状の重い姉のいる家族を描いた作品だ。2025/10/05
石橋陽子
14
筋肉の難病を持つ妹には同じ病のより重症度の高い寝たきりの姉がいる。側弯症を患う著者ならではの視点で描かれる。鯉に餌を撒くと勢いよく餌に群がる。食べたい時に食べられず厳格に管理されている様子を姉に見立てている様で心苦しい。姉の部屋にいることは姉の〈できない〉を見ることであり、自分の〈できる〉を見せつけることだったとは実体験なのだろう。輪廻転生を繰り返しカルマを解消すると最後に1度だけ現世で何不自由ない安楽な人生を送れるという一節、自由の利かない身体で産まれた著者の心の叫びのよう。ハンチバックに並ぶ衝撃作。2025/10/19
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