出版社内容情報
第171回芥川賞候補作。
踊る、それがわたしたちの自由
海辺の老人ホームに集う女たちのゆるやかなつながり。
いま最も注目される新鋭の最新作。
「これってフツー?」
「わたしの中じゃね」
「クズミさんのフツー、ちょっとヘン」(本文より)
海辺の老人ホーム「雲母園」で派遣の清掃員として働くわたし、クズミ。
ウガンダから来た同僚マリアさん。
サボりぐせのある元同僚の神崎さん。
ニセモノのバス停で来ないバスを毎日待っている入居者のサトウさん。
さまざまな人物が、正しさとまちがい、本物とニセモノの境をこえて踊る、静かな物語。
内容説明
海辺の老人ホームに集う女たちのゆるやかなつながり。いま最も注目される新鋭の最新作。「これってフツー?」「わたしの中じゃね」「クズミさんのフツー、ちょっとヘン」海辺の老人ホーム「雲母園」で派遣の清掃員として働くわたし、クズミ。ウガンダから来た同僚マリアさん。サボりぐせのある元同僚の神崎さん。ニセモノのバス停で来ないバスを毎日待っている入居者のサトウさん。さまざまな人物が、正しさとまちがい、本物とニセモノの境をこえて踊る、静かな物語。第171回芥川賞候補作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
215
第171回芥川賞受賞作・候補作、第二弾(2/5)、坂崎 かおる、初読です。本書は、タイトルから想像した内容と異なりましたが、今時の貧困女子&ウガンダ人のリアル、個人的には、芥川賞受賞作よりも本作の方が好みでした。最近仕事でウガンダ共和国と接点があり、何度も大使館に足を運んでいます。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639188152024/07/26
シナモン
113
世の中本物だけが良しとは限らない。白と黒、その間のグレー。淡く曖昧な部分にこそ大切なものがあるのかも。柔らかい文章でゆっくり読みたくなる一冊でした。文學界2024年2月号にて読了。2024/07/10
itica
82
非常に読み易い文章だが、どこか俯瞰して登場人物を眺めているような冷静さを持った物語だった。久住は海辺の老人施設で清掃員として働いている。新しい同僚となったウガンダ人のマリアの指導担当になり、自然に親しくなった。きちんと仕事をこなす久住、一生懸命なマリア。しかしふたりにはずるいところがある。でもずるいのは彼女たちだけだろうか。淡々と語られる、どこにでもあるような風景と営む人々の中に隠されている理不尽さを思う。 2024/07/22
chimako
79
芥川賞候補作品とは知らず図書館でジャケ借り。「いかにも芥川賞って感じ」と薄っぺらい感想を持ちながら読み進める。淡々とまた淡々と老人介護施設の清掃員久住の日常とウガンダから来た新人清掃員が過ぎていく。特別な出来事は新人清掃員マリアの家に行ったこと。our home と彼らが呼ぶコミュニティハウス。そこには馴染みの無い文化が有り、それが当たり前で、主人公はやはり馴染めない。ある日、突然解雇を言い渡される久住。何の言い訳もせず辞める日にサトウさんを海に連れていく計画をたてるが。好みではないが、心に引っ掛かる。2024/08/10
ネギっ子gen
64
【ニセモノにはニセモノの意味があり、矜持がある】海辺の老人ホーム。“何かの、誰かのために働くのがイヤ”な派遣の清掃員・クズミは、ウガンダ出身のマリアと親しくなる――。表紙が、静謐さのなかに懐かしさを含む素敵な装画だったので、誰が描いたのかと思ったら…『メタモルフォーゼの縁側』の作者でした。ほんわりとした風を装いつつ、沸々とした怒りが感じられたお話。<わたしは知っている。わたしはなおも叫び続ける。だってわたしは正しくない。あなたも正しくない。この世界に正しい人なんていない。たぶん、絶対正しくない>と―― ⇒2025/03/12