内容説明
いつかの記憶の扉が開く 東京、大阪、上高地3つの帝国ホテルを舞台に織りなす42の物語。1行でこころ揺さぶられる、珠玉の小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
209
角田 光代は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、帝国ホテル発行の会報誌「IMPERIAL」で11年間連載された42編のショートショート集でした。都会的でお洒落な感じです。私は、 日比谷の帝国ホテル本館が勤務地に近く、仕事の関係もあり、バンケット、レストラン、バー、カフェをたまに利用しますが、まだ宿泊したことはありません。金額を気にせず、帝国ホテルを日常使い出来る人が、お金持ちなんでしょうね。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639187472024/08/25
fwhd8325
122
帝国ホテルを舞台にした掌編。やや物足りなさも感じますが、読み進めていくうちに、これはスナップ写真のようだと思いました。今は写したその場でどんな表情をしていたかわかりますが、昔は、現像されてくるまでのワクワクした気持ち。時が経ちふと見つけた写真から記憶が鮮やかに甦ってくる経験など、この短い物語からその奥にある心の動きを感じました。2024/10/14
hirokun
102
★4 角田光代さんの帝国ホテルの会報誌に連載された42の短編集。一つ一つの作品がキラキラと輝いているようで、日常とは少し雰囲気の違ったホテルでの光景が丁寧に表現されている。私は一気読みというより目についた作品を拾い読みするような形で読んだのだが、ホテルは何らかの人生の節目と関わっていることが多く、その節目に相応しいテーマで語られる作品は、なぜか私の心を温かくするものが多かった。私は上高地の帝国ホテルを一度も訪れたことはないのだが、是非とも妻と一緒に訪れてみたい。2024/08/17
まちゃ
98
東京、大阪、上高地、三つの帝国ホテルを舞台にした42編のショートショート。特に上高地に惹かれました。癒されに行きたい。帝国ホテルの会報誌「IMPERIAL」に11年間にわたり連載されたショートショートの単行本化。2024/11/01
Ikutan
81
東京、大阪、軽井沢、国内にある三つの帝国ホテルを舞台にしたショートショート。ホテルというちょっと特別な場所で切り取られた、様々な人たちの人生のひとこま。夫婦で、親子で、友人と..。美味しいお料理、華やかで格調高い空間、心のこもったスタッフの対応。非日常の中で紡ぎだされた思い出の数々は、じんわり胸が熱くなったり、ほっこり温かな気持ちになったり。流石、角田さん、短いながら余韻を残す素敵なお話ばかり。何れもよかったが、お気に入りは『だれかのための』と『幸福を切り取る』と『それぞれの季節』かな。2024/09/07