内容説明
小体ながらも繁盛している向島の船宿「かりがね」を営むお路とお律の美人姉妹。その裏の顔は「緋薊」を名乗る盗賊だった。お路は男嫌いだが、盗みに入る先の黒丸(関係者)を籠絡する術は抜群だ。一方、妹のお律は小太刀の名手だが、身分違いの武家の三男坊と恋愛中。そんな二人の気がかりは妹(三女)のお夕の行く末。幼い頃に失明したため師匠の家に住み込みで音曲の修業に明け暮れている。三姉妹の父親はかつて山陰の浜岡藩御用達の廻船問屋の主人だったが、不可解な死を遂げていた。父の死にまつわる手がかりを見つけたお路とお律は、その謎を解き明かすために立ち上がる―。
著者等紹介
志川節子[シガワセツコ]
昭和46(1971)年、島根県生まれ。平成5(1993)年、早稲田大学第一文学部を卒業。会社勤めのかたわら小説を執筆し、15年に「七転び」で第八十三回オール讀物新人賞を受賞。21年、初の単行本『手のひら、ひらひら江戸吉原七色彩』を上梓。『春はそこまで 風待ち小路の人々』で24年下期の直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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海猫
66
帯に「大江戸版キャッツ・アイ!」とある通り、船宿を営む美人姉妹が出てきて正体は怪盗だったという話でいかにもそれっぽい。盗賊周りの描写は池波正太郎風で雰囲気が出ていた。が、キャッツ・アイぽい展開は中盤ぐらいからズレ始め、盗みより父親の仇討ちが本筋になっていく。三姉妹の想いやドラマは良く書けていて面白い。それぞれが収まるところにおさまる終盤にも納得。帯ではキャッツ・アイとか怪盗緋薊の話っぽく煽っているがこだわると当てが外れるので、そういう要素も入っている女性が主役の時代小説ぐらいの意識で読むと楽しめると思う。2024/08/20
のびすけ
24
船宿を営む表の顔と怪盗としての裏の顔を持つ美人姉妹、まさに大江戸版キャッツアイ。とても面白く読んだ。幼い頃に視力を失った三女の存在がいい。続編希望。2024/08/28
信兵衛
17
盗賊仕事絡みで面白い展開があるのかと期待したのですが、盗賊と言っても事実上、盗賊の頭目=綱十郎の配下ですし、いつの間にか父親の謎の死に関する真相究明、仇討ちといった展開に移行してしまって、今ひとつという感。2024/08/05
ま
9
男はお金と女につまづくのが相場、女は形のない真心とかにつまづく。 薊(あざみ)は、夏の陽を浴びて緋色に輝く、綺麗な花を咲かせながら、容易に手折(たお)られないよう棘で己の身を守っている。三姉妹の長女次女が、裏稼業に手を染めながら父親の死の真相を探るお話👍️ラストは駆け足でしたが、ストーリーに引き込まれました。 2024/09/16
フキノトウ
9
どうも物語が、散漫な印象。没入できず。2024/09/11
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