出版社内容情報
次々とタイトルを奪取し、将棋界を席巻する天才・藤井聡太。その師匠である著者が、瞬く間に頂点に立った弟子との交流と、将棋界のちょっとユーモラスな出来事を綴ったエッセイ集。
週刊文春連載を単行本化。
藤井聡太とのエピソード満載!
先崎学九段との対談「藤井聡太と羽生善治」も特別収録。
内容説明
週刊文春 連載エッセー100手収録。最強すぎる弟子と将棋の喜びをユーモラスに綴る!
目次
出会いの季節
新しい同志
「一厘」の差
スギモト一族
哀しき大型連休
闘いの季節が始まる
立会人の仕事とは
指導の悲哀
対局前夜症候群
一門の「不文律」?
激闘!五番勝負
縁台将棋愛好家たちの挽歌
里見香奈さんの偉業
藤井二冠は「夏将軍」?
藤井二冠は「ずるい」!?
「棋風」が変わる理由
藤井二冠の“弱点”?
棋士に向いている五輪競技?
叡王戦とお菓子の行方
分け合う関係〔ほか〕
著者等紹介
杉本昌隆[スギモトマサタカ]
1968年11月13日、愛知県名古屋市生まれ。振り飛車党。80年、故・板谷進九段に入門。90年、プロデビュー。2019年、八段昇段。同年、B級2組に復帰。22年、通算600勝を達成し、将棋栄誉賞(棋界57人目)。門下に藤井聡太竜王、室田伊緒女流二段ら(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
161
週刊文春に連載のコラム百回分が一冊の本になった。棋士では、河口俊彦先生、先崎学先生が名文家として有名だが、杉本先生も仲間入りできるくらい素晴らしい。その文章は、杉本先生のお人柄の賜物である。弟子(藤井七冠)と自分の才能を比較した自虐ネタがテッパンだが、弟子への温かい眼差しが滲み出ていて、読む方もホッコリとなる。圧倒的な才能、本業に対する真摯さ、豊かな人間性という意味で、藤井聡太さんと大谷翔平さんに共通点を感じるが、そう言えば、杉本師匠と栗山監督もどこか似ている。愛情豊かで明るくて、何より弟子を信じている。2023/07/27
じいじ
85
むかしは「ヘボ将棋」に大ハマりした時期もありましたが、将棋への興味は今も変わりません。飛ぶ鳥を落とす勢いの藤井君(考慮した末、親しみと敬意をこめて「君」付けにさせていただきました)を、師匠が書いた本なので読んでみたくなりました。今の将棋界で、こんなスゴイ弟子を持っているのは杉本さんだけなのです。もっと肩を怒らせて威張ってマスコミに登場しても良いのに、謙虚で控えめな師匠です。この師匠あっての藤井名人の誕生だったのだと改めて思いました。8冠の完全制覇まであと一歩です。この師弟お二人に「ガンバレ!」を送ります。2023/09/25
J D
83
藤井聡太八冠を祝して読んでみた。師匠の杉本昌隆八段の文章は、テンポが良くて非常に読みやすかった。棋士の人たちは本当に多才だなと思う。こういうエッセイならいくらでも読み続けられる気がする。師匠の弟子に対する心遣いなどなんだか心温まる。杉本門下がますます活躍したら良いなと思った。故升田幸三先生の言葉が胸に響いた。因みに羽生善治九段とは同世代であの時代に八冠あれば羽生善治九段も八冠制していたと思う。2023/10/14
七草
72
将棋の藤井聡太七冠(2024年10月現在)の師匠、杉本昌隆八段。藤井七冠が偉業を達成するたびに、師匠としてコメントを求められてきた。師匠とはいえ現役の棋士。プロとしての意地とは別に、藤井七冠を見つめるまなざしが、少し離れたところから見守る父親のようで、ほのぼの感がある。藤井七冠が使っていたPCをもらったり、お年玉に悩んだり、棋士に関するいろいろな微笑ましいエピソードから、杉本八段の穏やかなお人柄が滲み出ていた。そういう師匠の元でのびのび育ってこられた藤井七冠は幸せだと思った。2024/10/06
ぶんこ
70
将棋を全く知らない私ですが、とても面白かったです。小学生だった藤井聡太君が弟子となり、あれよという間にハ冠になりました。弟子の才能を妬むことなく伸ばす師匠は少ないのではと思う。杉本師匠の懐の大きさを感じました。藤井聡太さんがタイトルのお祝いより、その将棋内容に拘るというのが面白い。面白いといえば、遅刻をすると持ち時間から引かれ、長い時間の将棋では3倍となって引かれる!人間将棋というのがあって、甲冑や武将の衣装を着て、人間が駒となって動く。これは知らなかったので、いつか見てみたいものです。2024/04/03