北関東「移民」アンダーグラウンド―ベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪

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北関東「移民」アンダーグラウンド―ベトナム人不法滞在者たちの青春と犯罪

  • 安田 峰俊【著】
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  • サイズ 46判/ページ数 283p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784163916453
  • NDC分類 334.41
  • Cコード C0095

出版社内容情報

 北関東というのは独特の匂いのする地域である。
 大宅賞作家・安田峰俊の最新作は、その北関東に地下茎のごとく張り巡らされた、「移民」たちのネットワークのルポだ。
 移民に「」がつくのは、日本には制度上、移民はいないから。しかし、悪名高い、技能実習生制度のもと、ベトナム人だけでも実習生は20万人近く。その一部は低賃金や劣悪な環境に嫌気がさして逃亡、不法滞在者の「移民」として日本のアンダーグラウンドを形成している。彼らは自国の経済が発展し、出稼ぎに出なくても食えるようになると、日本になど来なくなる。そのため、アンダーグラウンドの主役はどんどん変わる。かつて中国人が主役だったアンダーグラウンドを、今、占拠しているのは、無軌道なベトナム人の若者たちなのだ。
 ベトナム人によるアンダーグラウンド社会が日本人に知られたのは、群馬県で起きた「豚窃盗事件」。養豚場から盗まれた豚は、彼らのアパートで解体され、彼らのネットワークの中だけで処理されたため、警察の捜査は難航した。このように、アンダーグラウンドで完結する犯罪は表に出にくいのである。桃などの果物も、かなり派手に盗まれているが、犯人はなかなか逮捕されない。
 本作では、筆者と通訳の「チーくん」(彼は日本育ちのベトナム難民の2世だ)が、まるでホームズとワトソンのように、「移民」による事件現場を訪ね歩く。血なまぐさい殺人現場、タトゥーだらけのしたたかな不法滞在者たち、常にただよう薬物とバクチと女のニオイ。あちこち探り歩いて、ついに北関東ベトナム人アンダーグラウンドのボス、「群馬の兄貴」にたどり着く。スキンヘッドに気合の入った刺青、見るからに恐ろしい「群馬の兄貴」が犯した真の罪とは……。
 豚の窃盗から、誘拐、殺人と、あらゆる犯罪現場に、ベトナム人の好物である雷魚とアヒル、そしてビールを手土産に走り回る2人。
 恐ろしくて面白い、アンダーグラウンドレポート!


内容説明

ベトナムから技能実習生として来日したが、さまざまな理由で職場から逃亡し、アンダーグラウンドの住人となった自称「ボドイ(兵士)」たち。北関東に地下茎のように張り巡らされた彼らのネットワークに注目し、その隠れ家に突撃すること20回以上!通訳のチー君、カメラマンの郡山総一郎と筆者の突貫トリオは、大量のビール、米、時にはアヒルやライギョを手土産に、今日もボドイの事件を追いかける!

目次

序章 「兵士」を自称するやんちゃなベトナム人
第1章 無免許運転でひき逃げ死亡事故
第2章 嫌われ娘・ジエウが暮らした漁村
第3章 シャブ・刺青・おっぱい―ウーバーイーツ配達青年の青春
第4章 豚窃盗疑惑「群馬の兄貴」と会った!
第5章 「日暮里のユキ」が見た日本人の性と老
第6章 殺し合うボドイたち
第7章 列車衝突事故でもほぼおとがめなし
第8章 桃窃盗事件の裏にあるボドイ経済

著者等紹介

安田峰俊[ヤスダミネトシ]
1982年、滋賀県生まれ。広島大学大学院文学研究科博士課程前期修了(中国近現代史)。ルポライター。立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。中国およびアジア世界を主なフィールドとし、『八九六四「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)が第5回城山三郎賞と第50回大宅壮一ノンフィクション賞、『「低度」外国人材移民焼き畑国家、日本』(同)が第5回及川眠子賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ばたやん@かみがた

97
《ユルさと表裏一体な無責任・無関心をどう捉える》(1)前著『「低度」外国人材 』 https://bookmeter.com/books/17441865 に続く本邦の一次産業等の低賃金労働を担う実習生としてベトナムから来日、そこから逃げ出した不法就労者(「ボドイ」と称される)のルポ。今回は、彼らが異国の地で繰り広げた犯罪の実相について迫って行きます。差し入れの缶ビールと食糧を片手に食事をボドイと共にする取材手法は、彼らの行き当たりばったりのその日暮らしを浮かび上がらせ、(1/7) 2023/09/19

梅ちゃん

21
ボドイとは、職場からドロップアウトして不法滞在、不法就労状態にあるベトナム人の元技能実習生、さらにオーバーステイ化した元留学生を指す。本書はボドイが起こしたいろいろな事件を取材したもの。読んでるとベトナム人が怖く思うけど、決してそんなことはないんやろな。技能実習生の名の下に、低賃金で厳しい労働に就かざるを得ないベトナム人、そら逃げるわ。そうしたら不法なことをしてでも生きようとするわ。こんな奴隷的な制度を作ってる日本政府がいかんのやろね。私らもその制度にあぐらをかいてるんやけど。2023/12/19

遊々亭おさる

21
主に技能実習生として日本に入国し、何らかの理由で職場を逃げ出し不法入国者となり大規模な窃盗から薬物乱用、そして時には殺人事件などの事件を起こして移民社会化を警戒する世論を作る一因ともなる不良ベトナム人のその生態と犯罪を追った一冊。彼ら彼女らの無軌道で刹那的な生き方に眉をひそめていても、技能実習生という安価な労働力なくしては日本人の生活や経済がままならなくなるのも必定。ベトナムの国民性は無軌道でも刹那的でもない。奴隷のごとき人材が欲しい日本が不良化しやすい人材を呼び寄せる。無関心という悪意を内包する我々も。2023/08/19

ミズグ

13
その場しのぎの安価な労働力に頼る構造的問題がボドイを生み、それは国を代え繰り返される。集落の外国人への不寛容と閉塞感はなるほどそうだよなと思った。日本の田舎は自然豊かだけど外から移住するのが困難、ましてや外国人は難しい。ベトナム人と大阪の相性のよさが語られたところは納得させられた。2023/06/22

モリータ

11
◆2023年2月刊、書き下ろし。前著『「低度」外国人材』の続編。本書はボドイ(技能実習を逃亡したベトナム人不法滞在者)の姿と、彼らが各地で起こした事件を追う。3章などは登場人物も個性も豊かで面白い。◆「群馬県の兄貴ハウスの住民たちかわもわかるように、彼らは日本人の官憲やマスコミに対しては排他的な団結を見せる。また、見ず知らずの相手と同じ寝具で寝ることも、同居人の目の前で自慰行為をおこなうことも気にしないほど身体的・空間的な距離感が近く、車両や食料・タバコなどの資源もすすんで融通し合う。そして、よく(続2023/04/29

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