出版社内容情報
金沢 知樹[カナザワ トモキ]
著・文・その他
内容説明
1986年の長崎―。夫婦喧嘩は多いが愛情深い両親と暮らす「僕」は、キン肉マン消しゴムが大好きな小学生。家が貧しくクラスメートから避けられている「タケちゃん」と、ひょんなことから“イルカを見るため”にブーメラン島を目指すことに。この冒険をきっかけにふたりの友情が深まる中、別れは突然にやってきた…。
著者等紹介
金沢知樹[カナザワトモキ]
1974年1月1日生まれ、長崎県出身。お笑い芸人としてデビューし、後に様々なバラエティ番組に構成作家として参加する。2003年、お笑い芸人数名と共に「劇団K助」を旗揚げ、主宰を務める。2008年、舞台『部屋と僕と弟のはなし』で文芸社ビジュアルアート「星の戯曲賞」準グランプリを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
J D
83
本を閉じると同時に鳥肌が立った。めちゃめちゃ好きな作品に出会えた!昭和の少年の物語。竜子の竜は竜胆の竜。竜胆の花言葉は「悲しみに寄り添う」。私もそんな人になりたい。そして、タケちゃんとの夏の思い出。弟と少年ジャンプ。ここには、同じ昭和を生きた私の思い出も生きていた。ジブリの「おもいでぽろぽろ」のよう。今では信じられないが当時の学校の先生は当たり前のように子どもが悪いことをすれば手をあげた。肯定する訳では無いがそういう時代だった。ノスタルジックで温かい作品。おすすめします。2023/09/23
mike
72
金沢監督の自伝的小説で、80年代の長崎が舞台である。子どもが子どもの時間を存分に使えた時代。暴力的な体育教師やたむろするヤンキーにびくつきながらも、未知の世界にワクワクしながら冒険をする事ができた懐かしいあの頃。魚が大好きだった友との友情、怖い体育教師の恋バナ、5つ歳下の弟の手術の話。笑ったり泣いたりの賑やかな毎日を懸命に目をキラキラさせながら過ごす主人公康弘の姿にホロリとする良作✨2023/02/12
ぶんこ
66
長崎での小学生高学年での日々。同じクラスのタケちゃんの家がボロボロなのに、室内は清潔との描写にタケちゃんは大丈夫と感じました。鯖缶で握り寿司は想像がつきませんが、大人になったタケちゃんが寿司屋さんになっているのがよかった。体育教師の体罰に目がテン。昭和の時代だからか?ガンダムとドムの恋と体罰が噛み合わなくて戸惑う。最後の兄弟の話が最高でした。5歳ちがいの弟への思い。殴られても絶対に離さなかったジャンプ。いいお兄ちゃん。あとがきの父親の話も胸に刺さりました。2023/02/06
maxa
49
同年代読友さんたちのレビューが印象に残っていたので思わず手に取ったけれど、借りて正解!綴られる言葉はシンプルなのに泣けて笑えて郷愁も感じられて好きなやつだった。小学生ヤっちゃんを主人公に、友人との思い出、先生の恋愛話、弟との関係について綴られた短編集。それぞれモデルがいるらしいが、皆独特だけれどその人を知るほどに好きにならずにいられない人たちばかり。特に毎回登場するお父さん(作者の父がモデル)がガサツで大雑把なのに妙にあったかくていい味を出していた。伊藤博文の千円札、指切りげんまん、キン消し…懐かしい〜。2023/11/06
nyaoko
45
映画がとても良かったのでノベライズを図書館からお取り寄せ。51年生まれの弟なんかはまさに同世代だから、オススメしたらあまりに懐かしくて喜んでた。2023/06/14