出版社内容情報
公営ギャンブルの対象となり世界から注目されるマラソン大会の参加者にテロ組織から脅迫状が。ランナーと女性刑事の心の交流を描く。
内容説明
スポーツビジネスをめぐる利権と国家の威信が、東京でぶつかり合う。公営ギャンブル対象として、世界5カ国で開催されるマラソンレースの東京大会を妨害すべく、国際テロリスト集団が襲撃を仕掛けてきた。標的は日本人最速ランナーと、ランニングギアの開発をめぐる機密情報。警察庁は極秘に、特別編成の組織横断チームMITを立ち上げた。そのリーダーに抜擢された女性刑事は、アスリートを守れるのか。ランナーが、2時間切りという壁の向こうに見たものとは。
著者等紹介
長浦京[ナガウラキョウ]
1967年埼玉県生まれ。法政大学経営学部卒業後、出版社勤務を経て、放送作家に。その後、闘病生活を送り、退院後に初めて書き上げた『赤刃』で2011年に第六回小説現代長編新人賞、17年『リボルバー・リリー』で第一九回大藪春彦賞、19年『マーダーズ』で第二回細谷正充賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
219
長浦 京、直木賞候補作「アンダードッグス」に続いて2作目です。本作は、陸王+[警察庁特別チームvs.国際テロリスト集団]でした。マラソンは、短距離のウサイン・ボルトのような頻繁に世界記録を更新するスーパー・スターが出て来ない限り、興行としては厳しいと思われます。日本版ブックメーカーは、まだ可能性があるのではないでしょうか? https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639149612022/03/28
しんたろー
167
長浦さん3冊目。公営ギャンブルとして初のマラソンが東京で開催されるが利権を巡って脅迫状が届き、テロ対策チームが警視庁各署から優秀な人材を集めて作られた。一つの班を任された女性刑事・下水流悠宇を中心にしたサスペンスは、これまでの著者作品とは趣が変わって人間ドラマが中心で、派手なアクションを期待したら肩透かしだが「こういうのも巧いなぁ」と素直に感心した。悠宇を取り巻くチームの仲間や警護するマラソン選手らのキャラ造形がシッカリしていて私好み。敵側が殆ど描かれていなかったのが物足りないが、悠宇で続編を期待したい♬2022/04/07
パトラッシュ
145
A5ランクの高級ステーキ肉を、素人コックが焼け焦がしてしまったようだ。公営ギャンブル対象となったマラソン大会を失敗させようという国際的陰謀に、全警察から詰められた精鋭が挑むという設定は悪くない。新しいやり方に反発する警察内部の勢力の存在やハイテクシューズの開発競争などを取り入れたのも、21世紀のミステリを開拓しようとの意欲を感じる。しかし、それらが有機的に結合しておらず単に出しただけで終わっている。最後のマラソン大会で劇的展開を期待したが、悪い意味で肩透かしを食らった。「つまんねーヤツだな!」と言いたい。2022/05/25
のぶ
114
マラソンのスリルと大会のテロを阻止するべく活動する警察のチームのサスペンスが絡みあった面白い作品だった。公営ギャンブル対象として、5か国で開催されるマラソンレースの東京大会を妨害すべく、テロ集団が襲撃を仕掛けていた。情報を察知した警視庁は特別編性のチームを編成する。チームのリーダーに抜擢されたのは下水流(おりづる)悠宇。大会までに万全の態勢を敷き、当日に臨むが・・。凄い記録が期待されるレースで、大会を無事成功させる捜査チームの結束がとても良い。シューズやウエアの開発にも触れられていて興味深かった。2022/02/25
ゆみねこ
89
公営ギャンブル対象となったマラソンレース、出場する日本人アスリートに脅迫状が届く。大会を妨害する目的はシューズやウェアなどの高度な機密情報と大会そのものを失敗させること。国際テロ組織に挑むのは警察庁か立ち上げたMIT。リーダーに抜擢された女性警察官と3人の部下たち。高速化するマラソンを陰で支えるスポーツメーカー、近い将来こういう戦略が実現するかもしれない。面白かった!2022/03/30