出版社内容情報
かつて建築資材などに広く使われていたアスベスト(石綿)。その細かい繊維を肺に吸い込むことで、長い潜伏期間を経て肺がんや中皮腫を発症することから、「静かな時限爆弾」とも呼ばれる。著者は若い頃、電気工事工として働く中、現場でアスベストを吸い込み、今なお後遺症を抱えている。その経験をノンフィクションとして、『石の肺―僕のアスベスト履歴書』に書いたが、本書はその小説版と言える。仙台、ロンドン、東京、尼崎とアスベストの被害に苦しむ人びとの運命を綴った連作小説集。行政の対応が後手に廻り、結果として弱い個人が犠牲となっていく構図は、コロナ禍にも通じるものがある。
内容説明
何で、自分が?石綿(アスベスト)によって奪われた平穏な人生。仙台、ロンドン、東京、尼崎―自身も患者である作家が現場を歩いて綴った連作小説。
著者等紹介
佐伯一麦[サエキカズミ]
1959年、宮城県仙台市生れ。仙台第一高校卒。雑誌記者、電気工など様々な職に就きながら、1984年「木を接ぐ」で海燕新人文学賞を受賞する。1990年『ショート・サーキット』で野間文芸新人賞、1991年『ア・ルース・ボーイ』で三島由紀夫賞、1997年『遠き山に日は落ちて』で木山捷平賞、2004年『鉄塔家族』で大佛次郎賞、2007年『ノルゲ Norge』で野間文芸賞、2014年『還れぬ家』で毎日芸術賞、『渡良瀬』で伊藤整賞、2020年『山海記』で芸術選奨を、それぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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