出版社内容情報
すらっと伸びた脚と大きな目、最先端のセクシーなファッションに身を包んで政界に登場したときは、マスコミはこぞって「女性政治家の星」として好意的に取り上げた。しかし、史上最大級の選挙違反で逮捕されるや、手のひらを返したように、「稀代の悪女」としてここぞとばかりに叩いた。
河井案里。
参院議員として活動したのは二年足らずだったが、世間に大きなインパクトを残した。
彼女はマスコミの寵児となったが、実のところ、彼女のプライベートをよく知る記者はいない。
筆者は、当選直後から逮捕されるまで、インタビューなどの取材だけでなく、ことあるごとに電話やメールでやり取りをしてきた稀少な存在である。筆者の手元には、膨大な量の録音、メールがある。
あらためてそれらを読み返すと、不思議なことに気が付く。
宮崎で成功した建築家の家に生まれ、慶応大学に進学し、代議士の妻、そして自身も県会議員から参院議員と、これだけ聞くと恵まれすぎた人生のように見えるが、彼女からは、いっこうに幸せそうなようすがうかがえないのだ。
生きづらい女。
筆者は彼女の生まれた宮崎を訪れることからはじめ、その人生をあらためて取材してみた。すると、そこには、マスコミで見せた鼻っ柱の強い美人政治家とは別の顔が見えてきた。
タイトルの「おもちゃ」は、案里のメールにあった言葉だ。官邸も関与したであろう買収事件だから、きっと検察がもみ消してくれる。そんな期待は、黒川東京高検検事長のスキャンダルで吹き飛んだ。
「私も黒川さんも、権力闘争のおもちゃにされたんです」
河井案里という一人の女性政治家の人生を通して、現代社会における女性の生きづらさに迫る。
小泉純一郎、中村喜四郎に続く、政治家独白三部作の完結編。
内容説明
「黒川さんも私も同じように権力闘争のおもちゃにされてしまって、権力の恐ろしさを痛感します」美貌の女性政治家として彗星のごとく登場し、わずか11か月で戦後最大級の選挙違反で逮捕された河井案里。彼女と交わしたメール、電話、そしてインタビューから、マスコミを騒がせた「悪女」の素顔に迫る。
目次
序章 甘い逃避行
第1章 ちょうどよい女の子
第2章 代議士の妻
第3章 広島県政のヌーベルバーグ
第4章 男らしく、女らしく
第5章 あんたは「政治の子」
第6章 えこひいき
第7章 もらい事故
第8章 死ぬ瞬間
第9章 とりまく女たち
第10章 金毒
最終章 ニッポンを変えたい
著者等紹介
常井健一[トコイケンイチ]
1979年茨城県笠間市生まれ。ライブドア、朝日新聞出版を経て、オーストラリア国立大学に留学。帰国後、ノンフィクションライターとして独立する。著書『無敗の男』(文藝春秋)が高い評価を受け、大宅壮一ノンフィクション賞、講談社・本田靖春ノンフィクション賞、城山三郎賞の最終候補になった。2017年「小泉純一郎独白録」(文藝春秋2016年1月号)で第23回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞、2021年『地方選』(角川書店)で第9回日隅一雄・情報流通促進賞を受賞。駒澤大学ジャーナリズム・政策研究所指導員も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
- 評価
購入済の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
おかむら
こも 旧柏バカ一代
onasu
まぶぜたろう