出版社内容情報
「意見の異なる相手を理解する知的能力」エンパシーをめぐる思索の旅。“負債道徳”からジェンダーロールまで思い込みを解き放つ!
内容説明
“負債道徳”、ジェンダーロール、自助の精神…エンパシー(意見の異なる相手を理解する知的能力)×アナキズムが融合した新しい思想的地平がここに。
目次
第1章 外して、広げる
第2章 溶かして、変える
第3章 経済にエンパシーを
第4章 彼女にはエンパシーがなかった
第5章 囚われず、手離さない
第6章 それは深いのか、浅いのか
第7章 煩わせ、繋がる
第8章 速いシンパシー、遅いエンパシー
第9章 人間を人間化せよ
第10章 エンパシーを「闇落ち」させないために
第11章 足元に緑色のブランケットを敷く
著者等紹介
ブレイディみかこ[ブレイディミカコ]
1965年福岡県福岡市生まれ。96年から英国ブライトン在住。ライター、コラムニスト。2017年、『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞、19年『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でYahoo!ニュース|本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞、毎日出版文化賞特別賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
299
ブレイディみかこ3作目です。もっとアナーキーな内容を期待していたのですが、エンパシーの教科書のような雰囲気でした。興味深い内容ではありますが、これでは『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の1/10も売れません。 https://bunshun.jp/articles/-/470102021/08/12
読特
142
エンパシーに纏わる様々な論点。シンパシーは感情。エンパシーは能力。鍛えればアップできる。普段から、他者の考えの背景を理解しようとすることは大切。・・一方、反エンパシー論もある。特定の誰かのことばかり考えれば、他の誰かが蔑ろになる。思い違いもある。よかれと思ってしたことが逆に傷つける結果になる。他国を侵略し虐殺までする某国のリーダーの思いを慮る必要はあるのか?・・他者の靴を履きその人の気持ちなってみる。たとえどんなに汚く、臭くても・・。いや、履かなくてよい靴もある。ダメなものはダメ。それがよいときもある。2022/04/22
mukimi
134
大ヒット作「僕はイエローでホワイトでちょっとブルー」で紹介したエンパシー(他者の靴を履く様に他者の身になって考える)の概念が流行したため、筆者が責任を持ってエンパシーに関する知見を改めて纏めた本。全面的に良いことかのように見えるエンパシーだが、エンパシー豊かな人は自己指針を持たずパワフルな存在に飲み込まれやすい。アナーキー(あらゆる支配への拒否)をぶち込まなければエンパシーは闇落ちしてしまう。フロムの「愛は技術」はエンパシーは最終的に自己を救うとの知恵だが、本書はそのもう一つ先の視野を与えてくれた。2024/07/07
TakaUP48
105
筆者の読書量と博学に舌を巻き、カタカナが多くやや難しい本。息子のエンパシーの答案「他者の靴を履く」がピタリハマった表現!映画『プリズン・サークル』で、受刑者が「他者の靴を履く」場面が登場。英国の公立中学校では科目「演劇」があり、託児所では様々な表情の人間の顔写真を見せ感情を教える”演劇的な幼児教育”に驚く。コロナ渦で「ケア階級」の必要性を実感。従来の大人の指示に従う訓練教育とは真逆のニールの「サマーヒル・スクール」、赤ん坊からエンパシーを教わる教育法など興味深い取り組みが紹介されていた。日本で出来るか? 2021/12/15
ネギっ子gen
96
ベストセラー『ぼくはイエロー』の副読本で、<あの本の著者が「母ちゃん」としてではなく、「わたし」という一人の人間として(ときには一人の女性として)「他者の靴を履く(エンパシー)」を思索する旅に出た>、「大人の続編」。また、<わたしが「わたし」という一人の人間として物事を考え始めると必ずどこからか現れるアナキズムの思想が、いつの間にか当然のようにわたしの隣を歩き始めて、エンパシーとの邂逅を果たした旅の記録とも言える>と。 “多様性の時代”のカオスを生き抜くための本であり、実に読み応えがある、強力お薦め本!⇒2021/11/06
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