内容説明
現代に挑み続ける人気作家渾身の超弩級ノンフィクション。日本を揺るがした大疑獄の「真犯人」とは。裁判官、特捜検事、秘書、全日空関係者…初めて明かされた証言多数。「ロッキード神話」の真実が浮かび上がった!
目次
霧の中の大迷宮
第1部(アメリカから飛んで来た疑獄;政治の天才の誕生;金権政治家の烙印)
第2部(トライスター請託の不可解;五億円とは何だったのか;裁判所の不実;吉永〓介の突破力;毒を喰らった男)
第3部(もう一つの疑惑;児玉誉士夫という生き方;対潜哨戒機;白紙還元の謎;“MOMIKESE”と訴えた男)
第4部(角栄はなぜ葬られたのか)
残された疑惑
著者等紹介
真山仁[マヤマジン]
1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業後、新聞社に入社。フリーライターを経て2004年『ハゲタカ』でデビュー。以後、現代社会の歪みに鋭く切り込むエンタテインメント小説を精力的に発表し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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utinopoti27
152
思わず目を引くド直球のタイトルに装丁。そして『ハゲタカ』の真山氏による初のノンフィクションとくれば、手に取らないわけにはいくまい。あの疑獄事件から半世紀、様々な関連書籍が刊行されている中で、あえてのチャレンジ。たしかに画期的な新事実が見つかったわけではない。だが、随所に差し込まれる著者の推論には十分説得力があり、この超長編を最後まで読ませるリーダビリティは、さすがプロ作家の技量と言うべきだろうか。膨大な資料を読み込み、数少ない存命の関係者への取材を重ねて紡ぎあげた、本作はまさに乾坤一擲、著者執念の労作だ。2022/03/26
まーくん
123
事件発覚から既に45年。600頁近い大作だが小説家真山の力量、ぐいぐい読ませる。コーチャン、クラッター、頭の隅に仕舞い込まれた固有名詞が蘇る。真山は多くの関係者や資料に当たり、満を持し「昭和」を総括できるテーマとして、事件をノンフィクションとして描く。当事者の多くが鬼籍に入った今、存命の関係者が制約なく真実を語れる最後の機会かも知れない。丸紅、全日空、トライスターと元総理田中角栄逮捕へ向け検察が的を絞った線より、捜査の本線から外された児玉誉士夫、次期哨戒機PXL、中曽根康弘そして背景にある日米関係に注目。2021/02/10
ぶ~よん
81
元総理大臣が逮捕された歴史的汚職事件を、「ハゲタカ」の真山仁が解説する。あまり基礎知識が無かったため、周知の事実と新事実の境界が分からなかった。ただ、総理大臣就任期間がたった2年半の田中角栄が、何故歴代の総理大臣の中で特別視されるのか、とても興味を持った。日本では、空気を読まない突出した人間は、謎の力によって潰される。ホリエモン然り、Winny事件然り、それは現代でも変わらない。誰かにとって得だった陰謀論なのか、期待から嫉妬へと代わった世論がそうさせたのか。歴史の変化点では、同じ事が繰り返されている。2023/04/08
まつうら
58
どうして田中角栄は逮捕されたのか? ロッキード事件とは何だったのか? 事件から40年がたち、少なくなった関係者を丁寧にあたった著者が、鋭い筆致で昭和の大疑獄を検証した作品。ここに見えてくるのは検察と司法が一体となった国家権力の横暴だ。角栄を嵌めたのは世論であると著者は論じるが、メディアを通して世論を動かしたのは国家権力ではないだろうか。ニクソンの強欲やキッシンジャーの策謀はあったにせよ、法治国家にあるまじき検察と司法の横暴に、角栄ならずとも無念と憤りの感情を禁じ得ない。司法は角栄の名誉回復をすべきだ!2022/12/26
Carlos
54
真山さんのノンフィクション。結局田中元総理に自覚はあったんだろうか?社会の中で上の立場になればなるほど把握しきれずに進んでいく物事はあるとは思う。2023/04/10