出版社内容情報
書の力で、国を動かしたい。唐の時代を舞台に、兄妹の数奇な運命が交差する。ロマン香る大河小説。
内容説明
「書の力で世を動かしたい」。文官を目指しながら、信念を曲げず敵陣の刃に倒れた青年・顔季明。彼の許婚の采春は、興行一座に身を隠し、得意の武術を磨きながら、季明の仇討ちを計った。一方、采春の兄・張永は、季明の遺志を継ぎ、新皇帝のいる霊武へと向かう。一度は袂を分けた兄妹の運命が交差するとき、唐の歴史が動き始める―。2020年 第27回松本清張賞受賞作。
著者等紹介
千葉ともこ[チバトモコ]
1979年茨城県生まれ。筑波大学日本語・日本文化学類卒業。2020年、『震雷の人』で第27回松本清張賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
57
舞台設定にしては良い案配にライトな読み心地で、この手の小説が苦手な自分でも一息に読めてしまった。歴史小説としての緻密さよりも、キャラクター同士の生き生きとした掛け合いを楽しませてくれる作品。まさかと思うような展開の連続にも魅了された。その分あらすじが大部分のネタバレをしてしまってるのは少しどうなのかと思った。あそこまで書かなければ、もう少し読者に驚きが生まれたのでは。最後はまだ読んでいたいと思わされたが、もしかして続編の構想とかあったりするのだろうか。2020/10/11
万葉語り
48
安史の乱に運命を翻弄された顔真卿の一族の話でした。「人を動かすのは恐怖でも法でもなく、人が自らの意思で動くのでなければならない。ゆえに人の心を動かすのは字であり、言葉である。活きて、人の芯である心を動かす。だから私は文官になりたい。」私が今の仕事をしている理由を語られてしまった。もっと活躍してほしかった。2020-2042020/11/08
よっち
42
安禄山の叛意が徐々に顕在化しつつあった唐・玄宗の時代。平原太守・顔真卿の下で大隊長を務める張永とその妹の采春の数奇な運命を描く中華小説。文官を目指し信念を曲げず敵陣の刃に倒れた青年・顔季明、彼の仇討ちを計るため故郷を出奔した許婚の采春、季明の遺志を継ぎ新皇帝のいる霊武へと向かった張永。激動の時代の自分ではどうにもならない運命のようなものが感じられて、それでも言葉で人を動かそうとする季明に影響された兄妹のその後は思ってもみなかった展開でしたけど、それぞれの信念の下に生きる彼らの姿がとても印象的な物語でした。2020/10/31
kou
36
面白くて、読むのが止められなかった。主役の兄妹が、それぞれの視点で、成長していき生き方を決めていく展開が良かった。それにしても、妹、強すぎ!ただ若干ボリューム不足を感じた。1冊で収めるのは無茶だったのでは(汗)。いつかリメイクされ大長編になった本作を堪能したい。2020/12/20
タカギ
32
松本清張賞受賞作。面白かった。西暦755年、唐の時代、妹と親友の婚姻が決まった張永は浮かれていた。親友の季明は優秀で将来有望、妹の采春は武術の達人。幸福に包まれるかに見えたが、安禄山の謀反のため、3人は引き裂かれる。張永と采春はなんだかんだ逞しく生き抜くけど、季明の実家の人たちがどうなったのか気になった。采春は「死ぬより、辛い目にあっているかもしれない」と憂いつつ、その先の記述はない。籠城して飢えれば女から殺して食ったとか、12~13歳で嫁いだとか、女性の地位の低さも垣間見える。それでも悠久の歴史の一瞬。2021/02/03
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