出版社内容情報
過去に生きる夫、秘密を抱えた妻、本心を隠す娘。ドイツでの一週間が三人に変化を……。THE ALFEEリーダーが綴る大人の愛。
内容説明
すれ違う心で旅する7日間。互いに秘密を抱えた夫婦と娘。ドイツの空の下、悩める家族の行方は―。THE ALFEE〓見沢俊彦が贈る愛の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蒼
28
夫婦、親娘が初めて向き合いそれぞれの人生に改めて生きるための一歩を踏み出す物語。ではあるが、夫も妻もそれぞれに自分の事しか考えていない。そんな親を娘は互いに似たもの同士と見ていて、自分の生き方に多大な影響を及ぼしたのは母親だと思っている。夫として妻としてはクズの部類になりそうなのに、娘に対してはあまりに理解がありすぎるというか、娘の告白に対してその軽さはアリなのと眉唾になってしまった。ドイツの観光案内的な側面で読ませながら高見澤さん頑張りましたね、と上から目線の感想ですみませんが読了した。2020/07/20
PAO
23
「十字架の前に立ったら、そんな思いが込み上げ、涙が止まらなくなってしまって」…表紙のシュタルンベルグ湖の十字架の夕暮れ…その凄絶な景色がこの本の動機だとしたら私も同感です。鷗外の『うたかたの記』のクライマックスの舞台として以前から一度は訪れてみたいと思っていました。パートナーとの関係が秘めるものは守るものかは人それぞれでしょうが考えさせられます。トランジットで何度も立ち寄ったミュンヘン空港を思い出してビールを飲みながら読みました。文体への注文としては人名体言止めの多用は素人くさいので控えた方がいいですね。2020/08/06
ゆきねこ
19
アルフィーの高見沢さんが書いた恋愛小説。ミュージシャンが書いたということは真実だと思う、ゴーストライターならもっと上手に書くでしょう。仕方がない。ドイツの有名な観光地、おいしい特産物が散りばめられています。読む価値があるのはそこだけ。ギクシャクした夫婦の過去、現在の恋愛と、娘の性的嗜好がドラマになっているが、人物が薄っぺらい。仕方ない。プロの作家さんじゃないので。ファンの人にしたら素晴らしい作品でしょう。アルフィーの楽曲やキャラがたった高見沢さんは嫌いではない。曲作って歌っていた方がよい。2021/08/20
わいほす(noririn_papa)
13
たかみーの2作目。1作目は自伝的要素が強く、ミュージシャンらしい小説だったが、今回はドイツを舞台にした大人のラブストーリー、というかメロドラマ。若き日の恋と今の夫婦関係、親娘関係を織り交ぜながら、数日間のドイツの旅での出来事を描く。異国への旅行という非日常的な時間を通して、日常でなおざりにしてきた時間と心が変化していくプロット。過去と現在の風景と心の対比。しかもドイツの街の風景だけではなく、歴史や文化、政治的背景まで会話に入れるあたりは骨太のらしさも垣間見える。もっともたくましいのは女性たちであるが。2020/06/16
りょう
9
互いに秘密を抱えた夫婦と娘、それぞれの心情の変化を描いた物語。ドイツの美しい情景描写と家族間の冷めた距離感の心情描写、そのミスマッチがどういう訳か妙にしっくりと嵌るようで不思議な感覚でした。おそらく人間の心の中にある白や黒では表せられないグレーな部分と、美しくとも決して派手な色鮮やかさではなくモノトーンが掛かったような情景が何処か重なり合うようなシンクロニシティを感じたからかもしれません。髙見澤先生の3作目も今から期待しています。2020/08/07