出版社内容情報
最低亭主から逃げた絵乃は、離縁調停の達人のもとで働くことに。一筋縄ではいかない依頼を解決しながら、念願の離縁を果たせるか。
内容説明
結婚して五年、定職にもつかず浮気と借金を繰り返す夫に絶望した絵乃は、身ひとつで家を飛び出し、離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」に流れ着く。夫との離縁を望むも依頼できるだけの金を持たない彼女は、女将の機転で狸穴屋の手代として働くことに。果たして絵乃は一筋縄ではいかない依頼を解決しながら、念願の離縁を果たすことができるのか!?
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第十七回日本ファンタジーノベル大賞で大賞を受賞してデビュー。12年『涅槃の雪』で第十八回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第三十六回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
197
まったく西條さんの作品は安心して読めるのが嬉しい。世の中繋がる【縁】ばかりじゃないよね。三行半は男からの時代だもの・・その【縁】をどう切るか。絵乃の成長奮闘記でっもあった。公事宿・狸穴屋の女将・桐や椋郎との【縁】も良かった。切れたと思っていた母との【縁】は嬉しい限りだ。絵乃のこれから、もう少し続きが読みたいと思ったのは私だけではないだろう。2020/03/22
やま
166
わかれ縁 2020.02発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。わかれ縁、二三四の諍い、双方離縁、錦蔦、思案橋、ふたたびの縁の6話。絵乃は、夫・富次郎の金遣いや女癖の悪さに疲れ、5年連れ添った富次郎と別れることを決意して、公事宿・狸穴屋の公事担当の手代見習となります。そして、兄弟の確執を鎮め、母と再会し、富次郎との離縁がなります。読み終って胸が暖かくなります。絵乃の成長に、目が離せません。ただ、時代劇は、殺陣が無いと、締まりがないというか。どこかに、少し殺陣が有ってもいいのではと思いました。2021/01/24
初美マリン
135
がんじがらめの中で出会った新しい出会い。その中でひとつひとつ納得して切り開いて再びの縁となる。こういう風になって欲しいという結末でした。2020/08/31
ひさか
130
オール讀物2017年11月号:わかれ縁、2018年2月号:二三四の諍い、5月号:双方離縁、8月号:錦蔦、11月号:思案橋、2019年2月号:ふたたびの縁の6つの連作短編。自らの離縁をかけて公事宿の手代となった絵乃の離縁専門公事師人情仕事ストーリー。良くできた展開で、楽しめましたが、お話が序盤にしか到達していないように思い、さらなる展開を期待したくなりました。2020/08/09
タイ子
129
放蕩三昧の夫に愛想を尽かした絵乃がひょんなことから公事宿で働くことになる。離縁状は夫側しか出すことの出来なかった時代、絵乃は公事宿の手代として働きながら何としても夫から離縁状を出させることに奮闘する。が、そこには予想だにつかない事実と遭遇する羽目に。公事宿に依頼がくる夫婦の離縁話は様々で今も昔も夫婦間、家族の悶着は変わらないのかもしれない。公事宿の女将始め手代たちが温かいのがホッとする。別れる人あらば出会う人もある。女将がカッコ良くて7回の結婚には驚くが、何だかそれさえも清々しい。2020/04/27