出版社内容情報
「今さえよければ自分さえよければ、それでいい」という“サル化”が進む社会で、人口減少問題からAI時代の教育まで論じた快著。
内容説明
現代社会の劣化に歯止めをかける、真の処方箋!堤未果氏との特別対談も収録。
目次
1 時間と知性
2 ゆらぐ現代社会
3 “この国のかたち”考
4 AI時代の教育論
5 人口減少社会のただ中で
特別対談 内田樹×堤未果 日本の資産が世界中のグローバル企業に売り渡される―人口減少社会を襲う“ハゲタカ”問題
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年東京生まれ。思想家、武道家、神戸女学院大学名誉教授、凱風館館長。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
166
内閣総理大臣とは一億二千万人の代表という公人のはずが、今の安倍という人は自分の支持者しか代表していない。自分を支持しない人間に対してはその声を代弁しないどころか、ポロリと本音がでてしまい、あんな人たち呼ばわりしたり、敵視し、子供じみたヒステリックな反応や態度で攻撃すらします。こういう人を公人とはいわない。権力を握る私人としかいえない。反対者とともに統治する力と知性ある者に次を期待したい。内田先生のエッセイは昔、GQの連載を欠かさず読んでおりました。軟弱な雑誌になんと知的な2ページかと。以来、ファンです。2020/03/30
trazom
100
朝三暮四を内部論理化した「サル化した世界」への警世の書。成熟とは、複雑化することなのに、むしろ定型化だと思っている現代社会は、新自由主義とポピュリズムで「今だけ、カネだけ、自分だけ」に堕している。民主主義、憲法9条、戦争責任、外国語教育、医療などについて、内田節が炸裂する。中でも「教育の荒廃の最大の原因は教育の商品化である」という内田先生の教育への危機感には大いなる共感を覚える。「品位ある社会」「論理の飛躍を認める勇気」「コロラリー」「ためらう知性」「隔たりの功徳」…大切なキーワードにもたくさん出会う。2020/06/09
tokko
77
比較敗戦論はおもしろい論件でした。戦後、それぞれの国が戦争とどう向き合ったか、というのは確かに考えてみれば知っておきたいことでした。それから新しい国語の科目、「論理国語」についての内田先生の考えなど、教育問題に関する新しいトピックに触れられていたのも嬉しいですね。内田先生の本を読むと、僕たちはこの国をどのようにして次の世代にバトンタッチしていけばいいのか考えさせられてしまいます。2020/03/09
ムーミン
74
「AI時代の教育論」の章は特に興味深く読みました。英語教育の本義、市場原理で教育を語ることへの違和感。自分の中でもやもやとしていたものを形にしてもらえたという感覚です。2020/10/17
とよぽん
74
民主主義を多数決と思い込んでだれも民主主義を知らず、もはや日本に民主主義はない、との説にドキリ。弱者切り捨ての政治、沈みゆく経済、文科省の駄策でゆがめられた教育、そして比較敗戦論。そうだそうだと膝を打ちつつ、何とも言えぬ焦燥感を抱く。最後の、堤 未果さんとの対談に少し希望が見えた。2年ぐらい前の文章や話の中に、今のコロナ禍を見通しているかのような言葉が出ていて驚いた。この秋のアメリカ大統領選の行方が、とても気になる。2020/06/22