内容説明
「胸触っていい?」「抱きしめていい?」財務省幹部から、テレビ朝日の女性記者が言われた言葉だ。この記者と、自分を重ねた女性たちがいた。他人のセクハラを取材してきた「私たち」こそが、当事者だった!もう黙ることはしない―。決意の告白、社会時評、そして主要メディアのセクハラ対策調査を、これからペンを持とうとする女性たちへ贈りたい。
目次
第1章 私たちのこと(聞く;語る)
第2章 コラム―社会時評(「人権派」広河隆一氏事件―被害女性たちは投げかける;就活セクハラ720人アンケート―就活生を「ブルーオーシャン」にさせるな;セクシュアルハラスメント「禁止」の法制化―改正均等法でも被害者は救われない;メディア業界のセクハラ問題―タブーの時代に戻らせない;医学部入試の女性差別問題―下駄を履かずに裸足で歩く ほか)
第3章 メディア・アンケート(アンケート/回答;アンケート結果分析―地方紙に決断と工夫が見られる)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
晴柊のばあば
5
自分や知人の経験と重なるところもあるから、追体験しているようで読んでいて辛かった。雇均法前後雇用の同世代の、こんなにたくさんの女性たちが書いていることに勇気づけられる。望月さんが言うように、「怒りをきちんと伝えないと相手はつけあがる」。私も責任を感じるひとりです。2020/05/03
工藤俊悟
4
●セクハラをされて、「ふざけんじゃねえ!」とキレて、その後も仲良くなって仕事の付き合いがある(望月記者)●ショックだったのはその発言より、聞いている男性記者たちの態度だった●揺子は、本当のリスペクトは欲しくないの?●涙をこぼすと満足げな表情になって解放される。今から思えば、格好の酒のサカナ。ガールズバーにでも行かないと会話できない大学出たての女に説教して、おじさん方はさぞ気持ちよかっただろうと思う○「権力と闘う」ことも大事だが、身近なセクハラを止めるような「半径5㍍以内の正義」を大事にしたい2020/02/26
skr-shower
2
男性の被害者もいるけれど、セクハラも”マウントするのが当然”側のパワハラ。そして被害を受ける側も、マウントする側へ寄れば、良い目を見られる&被害を免れる構造。男の腹から生まれた男は、今のところいないだろうに何を強がっているんだろうか。「怒りをきちんと伝えないと相手はつけあがる」ですが、1冊丸ごと費やしても#Me tooでも変化の兆しなし…2020/07/06
ざび
1
凄まじいばかりの実例談。実名でのレビューもある。 これはマスコミだけを対象とした事例。最近の報道を見ると教師やその他の公務員でも全く無くなっていないのではないなと思わされる。 ほとんどの男は当たり前のことと思っているのが凄い。 財務事務次官の事件でも、仕事はできるという報道があったが、やったことは犯罪。麻生はセクハラ罪はないと言っていたが、根っこはこういうところにある。2020/08/10
Riri
0
文藝春秋著。社会正義のために戦っているはずのマスコミこそがセクハラの温床であることがわかる一冊。警察やマスコミという男社会が女性ジャーナリストを苦しめ、性加害の事件を報道することを止めてきたことがわかる。 社会問題に敏感であるはずの女性ジャーナリストが、セクハラをセクハラと認識できず、自分を責めているということにショックを受けた。同時に、伊藤詩織氏や福田事務次官を告発したテレ朝記者の勇気に感銘を受けた。メディアで働く全ての女性、就活する全ての女性が絶対に読まなければならない一冊。2022/04/07