出版社内容情報
殿・利忠を支えながら、藩の借金を完済した七郎右衛門。だが黒船の襲来により、時代は大きく変わろうとしていた。新感覚歴史経済小説
内容説明
新銅山の開掘、面扶持の断行、藩校の開設、類を見ない大型船の造船…。七郎右衛門は、幾度も窮地に陥りながらも、利忠の期待に応え続ける。だが、家柄もなく、殿の信頼を一身に集め、旧態依然とした大野藩の改革を続ける七郎右衛門には、見えざる敵の悪意が向けられていた。そんな中、黒船の襲来により、日本中に激震が走る。時代は移り変わろうとしていた―。新時代を生き抜くヒントがここにある!
著者等紹介
畠中恵[ハタケナカメグミ]
高知県生まれ、名古屋育ち。名古屋造形芸術短期大学卒。漫画家を経て、2001年『しゃばけ』で第十三回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。以来、「しゃばけ」シリーズは大ベストセラーになり、16年には第一回吉川英治文庫賞を受賞した。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鉄之助
245
七郎右衛門の大活躍がいよいよ止まらなかった。80石取りの下士が、藩直営の商店「大野屋」を全国に5店も開き、軌道に乗せていくのには、驚いた。妬む保守派に、時には、命を狙われようとするが、最後まで「わが殿」が守り抜く。仕事が集中する”やり手サラリーマン”が活躍できるのも、才能を見抜き伸ばそうとする、経営者がいてのこと。現代にも通ずるテーマで、身近に読めた。ただ、最終章が、あまりにもサラリでちょっと物足りなさも。”天空の城”として人気の越前大野城が出てこないのも、残念!2020/03/21
やま
149
わが殿(下) 2019.11発行。字の大きさは…小。 幕末期に越前国大野藩7代目藩主・土井利忠は、藩政改革を行います。その執行役として内山七郎右衛門が利忠公を財政面でよく支えて行きます。 内山兄弟は、長男・七郎右衛門が財政面を、次男・隆佐が軍事面を、末っ子の介輔が隆佐のあと軍事面を担当します。 明治維新後に薩長に味方した藩以外は、苦境に立たされますが、七郎右衛門が始めた大野屋が大野藩の家臣たちを支えて行きます。→2020/09/20
初美マリン
131
幕末の福井県大野、この小藩の財政を立て直した男。藩主が英邁で部下を信頼する。地味ですけどいいですね。さらりとした小説。2020/08/26
とろとろ
97
下巻は大野屋の利益で藩校の開設や病院の建設、蝦夷地開拓などを行い、また巨大な北前船を所有して更に大きな利益を得、洋式の帆船まで建造するという、いくつもの大きな事業を手がける。維新の際、黒字だった藩は、この大野藩の他には密貿易や上手く殖産興業に成功した藩だけだったとか。この話の中にも出てくるが、そうした藩はやはり富藩強兵みたいなことに走る。富が力を生み遂には明治維新に至るということなのか。徳川幕府が250年も続いたのは、各藩を赤字化させる制度が実に巧妙だったからだと改めて感じだ次第(そっちか)。2020/07/08
雅
92
史実を基にした作品でこんなに感動したのは初めてかもしれない。七郎右衛門とわが殿の関係性が素敵だった。2020/12/28
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- 和書
- トーマの心臓 小学館文庫