出版社内容情報
クワコーが帰ってきた! 「日本のジーヴズ」と讃えられるユーモアミステリ不屈のカムバック。次なるミッションは「ゆるキャラ」だ!
内容説明
クワコーこと桑潟幸一准教授が、たらちね国際大学に転勤して最初の夏休み。低偏差値大学の「受験生応援プログラム」というリクルート大作戦の一環として、ティッシュ配りにあけくれていたクワコーへの、次なる指令は?「ゆるキャラの恐怖」…大学対抗ゆるキャラコンテストに着ぐるみで出場せよ。審査委員長はみうらじゅん、「おそろしき事がおこるぞよ」との脅迫状が届いて…。「地下迷官の幻影」…セミの次はキノコだ!理想の食材を求めるクワコーは、エロナマズ大王に恫喝され、学園に渦巻く権力闘争の暗流に巻き込まれる。文壇のマエストロの脱力系ミステリー!
著者等紹介
奥泉光[オクイズミヒカル]
1956年山形県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。94年「石の来歴」で芥川賞。09年「神器」で野間文芸賞。14年「東京自叙伝」で谷崎潤一郎賞。18年「雪の階」で柴田錬三郎賞、毎日出版文化賞。現在、近畿大学文芸学部教授。積極的に音楽活動を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
171
クワコー第三弾!埼玉・千葉と低学歴を差別語として使う恐ろしい作品。『ゆるキャラ…』表題作の犯人はヒント多すぎだがもちろんミステリはおまけに過ぎない。いつものメンバの馬鹿さ加減と脱力ぶりが面白いのだ。『地下迷宮…』本作、不真面目路線の中で著者ご本人の思想が前面に出ているように見える。突然に教育勅語批判。あの、たらちねオンリーワン男子モンジが、美人学歴エリートを前に教育勅語批判を始めるのだが。まともな結論にたどり着けるのか?とハラハラしながら見守るなか、本質もついている。この対決は面白い。2021/05/26
のぶ
85
クワコーシリーズの1と2を読まずにいきなり入ったので、今まで読んだ奥泉作品との作風の違いに戸惑った。真面目に正面から取り組もうと考えると何を言いたいのか分からない所もあるが、ゆるーい気持ちで読んでみると、コミカルで面白いミステリーだった。そんな雰囲気の作品の中にも、奥泉さんらしい文学の香りを読み解ける部分もあった。「ゆるキャラの恐怖」と「地下迷宮の幻影」の2作品が収録されているが、個人的には後者が好み。クワコー教授のキャラクターが分かったところで、いつか1と2も読んでみようと思う。2019/07/07
aoringo
73
たらちね国際大学准教授のクワコーと愉快な仲間達の日常。仕事はやる気ゼロで学生たちにもいじられるクワコー。それにしてもクワコーの赤貧ぶりがすごい。大学の准教授って蝉やザリガニ、野生キノコを食べないとやってけないほど収入少ないの??文芸部のみんなも個性的で楽しそう。底辺大学だけど、ぐだぐだおしゃべりしたり、みんなで同人誌作ったり、いいなぁ。一作目二作目も読んでみたくなりました。2019/07/01
いたろう
73
1、2と出た後、時間が経っていたので、もう続編はないと思っていた桑潟幸一(クワコー)准教授シリーズ、まさかの第3弾。前作から6、7年経っているが、小説の時間は前作の直後。ヘタレのクワコーと個性派揃いの文芸部の面々が相変わらず楽しい。金がなくタダのセミを嬉々として食す(!)クワコー。今作では、学生集めの営業のため、学園マスコットのゆるキャラ「たらちね地蔵くん」の着ぐるみに入ることになったクワコーの悲劇が爆笑もの。そして、秘密の使命を受けて、ある謎を解き明かそうとするクワコーがまた笑わせる。更なる続編を期待。2019/06/29
tetsubun1000mg
62
奥泉光氏は大作「鳥類学者のファンタジア」でジャズと文学の融合で幻想的な作風と思っていました。 当作も「スタイリッシュな生活3」とのタイトルなのでそのたぐいかと手に取るが、実際に読み始めると「ゆるきゃら」と現代風女子学生とさえない准教授とのやり取りが中心となっている。 大学の先生たちも吉本バリに変わっているが、女子学生もキャラが立っていて物語に絡んでいく。 大した事件ではないのに楽しく読ませてもらいました。 教育勅語のデモ授業でへたれのモンジがバイトのパイセンの言葉で唯一まともな事を言ってくれるのが秀逸。2019/06/06