出版社内容情報
「クマ、一緒に踊るか」「オレが? マロと?」白塗りのメイクで大駱駝艦の初舞台を踏む表題作ほか生きる実感あふれる四つの小説。「KUMAさんの言葉の内側には 命へのぶ厚い歓喜がへばりついている」
――井浦新さん(俳優)推薦!
甲斐駒ヶ岳の山岳地帯に作業場をかまえ、鉄のゲージツ家として活動を続けてきたオレ。後期高齢者となった今は、畑に野菜を作って猿や鹿との攻防を繰り広げ、奈良東大寺から蓮の根をわけてもらい、美しい花を咲かせるのに熱中する日々だ。
そんな作業場へ、サングラスを掛けたスキンヘッドの男たちがやってきた。
「ああ、そうか。マロの一味だな」
「はい、弟子の舞踏者です」
目をやると、テンガロンハットに黒い革のコートをまとった「中央線の魔王」が、桜の木に寄りかかっていた。オレの作品のガラスの柱を舞台に使わせてほしいと言うのだ。
「クマ、一緒に踊るか」
「オレが? マロと?」
子どもの頃から歌も踊りも苦手なオレだが、マロに「ダイジョーブ、俺が演出するんだ。素直な躰ひとつ、お持ちいただけるだけでよろしいので」とまで言われて怯むのは「私に生きる才能は残っておりません」と白旗を掲げるようなものだ。・・・
こうして白塗りのメイクで、マロが率いる舞踏集団の初舞台を踏む「戯れの魔王」。
オッカサンの死を看取り、蓮の花が開いて散るまでを見守る「蓮葬り」。
毎朝、遥拝してきた甲斐駒ヶ岳の奉仕登山にいどむ「アマテラスの踵」。
山岳の作業場に迷い込んだ瀕死の仔猫を助ける「ささらほーさら」。
泉鏡花文学賞受賞『骨風』のKUMAさん、生きる実感に満ちあふれた最新小説集。
篠原 勝之[シノハラ カツユキ]
著・文・その他
内容説明
泉鏡花文学賞受賞『骨風』のKUMAさん、待望の最新小説集!オッカサンの死を看取り、蓮の花が開いて散るまでを見守る…「蓮葬り」。毎朝、遙拝してきた甲斐駒ヶ岳の奉仕登山にいどむ…「アマテラスの踵」。白塗りのメイクでマロが率いる舞踏集団の初舞台を踏む…「戯れの魔王」。山岳の作業場に迷い込んだ瀕死の仔猫は助かるのか…「ささらほーさら」。
著者等紹介
篠原勝之[シノハラカツユキ]
1942年、札幌市生まれ。鉄の街、室蘭市で少年時代を過ごす。上京後、絵本、舞台美術、小説、エッセイなどで活躍。86年から鉄を素材に作品を作り始め、モニュメントなどのダイナミックな造型を全国各地に生み出している。2009年、『走れUMI』で小学館児童出版文化賞、15年、『骨風』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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