出版社内容情報
数多くの食通たちを心酔させてきた「すし匠」の中澤圭二氏が二〇一六年にハワイに進出した。江戸前鮨の技法が成し遂げた奇跡とは?鮨職人たちが選ぶ最も尊敬する鮨職人のアンケート一位に選ばれ、多くの食通たちを心酔させてきた四ツ谷『すし匠』の中澤圭二氏。国内の評価を不動のものとしていたにもかかわらず、中澤氏は2016年、53歳でハワイのリッツ・カールトンに進出する。築地からネタを空輸するのではなく、地元ハワイやアメリカ大陸沿岸の魚をつかって、一流の鮨を握るという前途多難な試みに挑んだのだ。それを可能にしたのは、素材の魅力を極限まで引き出す、200年の歴史をもつ江戸前鮨の技法だった――。
中澤氏に出会って以来、その人柄と仕事に惚れ込んだノンフィクション作家の一志治夫氏が15年以上にわたる取材の蓄積から描き出す、熱き男の物語である。江戸時代に握り鮨を考案した華屋與兵衛の時代から、戦前戦後の鮨文化、ここ数十年の海外での展開まで、ダイナミックな変遷を浮き彫りにしつつ、江戸前鮨という食文化の奇跡を浮き彫りにした、鮨ファン垂涎の一冊。
一志 治夫[イッシ ハルオ]
著・文・その他
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tetsubun1000mg
9
江戸前鮨職人では有名な方らしい。 東京に居れば収入も評判も高い職人でいられたのに、あえて取れる魚介類の少ないハワイに出店してしかも地元産の食材にこだわるとは。 アメリカでもニューヨークなどの大都市ならまだ分かりますが、これが江戸前鮨職人の魂なのでしょうか。 ただし、自分ではカウンターでおまかせ鮨を食べに行ったことが無いので想像するだけです。 中澤さんの話はノンフィクションとして大変面白いです。 自分では飲み物別で1万5千円から3万円の世界に近づくことはできません。 居酒屋にしておきます。2019/02/20
へへろ~本舗
6
鮨って刺身を酢飯に乗せたものだとおもっていたら違った。それは海鮮寿司というものであり本書でいう江戸前鮨は魚に酢や塩、昆布などを使って手当をしてにぎるものだという。知らなかった。そして赤酢を使った赤シャリで握る鮨、これまた知らなかった。安住することなく研究、勉強し常に進化し続けていく素晴らしい2018/10/20
uchi
2
中澤さんのワイキキ店の話だけかと思ったが、江戸前鮨全般にわたる話もあって、大変勉強になった。2019/01/13
ひまの
1
評価3.5。一人の職人として尊敬する四谷すし匠中澤さんのお話。誰もが驚いたハワイ店開店の話を軸にそれ以外の色々な寿司店の話、さらには日本酒新政酒造のお話など興味深いお話が数々。 今も四谷すし匠は中澤イズムが息づいてて美味しいし、全く素材が劣るハワイであれだけの江戸前鮨を食べさせてくれた感動が本読んでいて蘇ってきた。 早くコロナ終息して寿司屋も行きたいところです。2020/05/02
こたちゅう
1
著者の他の本を読んで面白かったので読んでみた。前半が中澤氏の東京での成功まで、後半がハワイ編みたいな構成になっているが、特に後半が面白い。鮨の歴史も一緒に勉強できる、良著だと思う。他の本も読んでみたいが、筆者は寡作なのか、読みたい本はすでに読んでしまっているのが残念なところ。2019/04/05