出版社内容情報
徳川の分家筋・高須に生まれた四兄弟はやがて尾張、一橋、会津、桑名を継いで維新と佐幕で対立する。歴史と家族の情が絡み合う物語。
内容説明
この四兄弟がいなければ、幕末の歴史は変わっていただろう―。子福者と天下に羨まれた徳川傍流・高須家から尾張、会津、桑名に散った若き兄弟は動乱の中、維新派と佐幕派に分かれ対立を深めてゆく。葵の御紋の誇りを胸に、新時代の礎となった高須四兄弟の運命を描く!
著者等紹介
奥山景布子[オクヤマキョウコ]
1966年愛知県生まれ。2007年「平家蟹異聞」(『源平六花撰』所収)でオール讀物新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
76
高須四兄弟は有名だけど、容保以外の人たちのことは正直あまり知りませんでした。幕末の尾張でこんなお家騒動があったなんて!しかも兄弟同士で!乳幼児の死亡率が高く家のために養子が当たり前の世界は、今の感覚ではおかしな関係が生まれがち。兄弟それぞれが入った家で、その立場によって様々な思惑に翻弄される様子は辛かったです。そして、この作品でも際立つ慶喜の変人ぶり。この人がもう少し異なる性格の人だったら、幕末の絵図は全く違うものだったでしょうね。2020/07/31
アルピニア
68
高須松平藩の兄弟たちは、父の言葉「どこへ行こうと何があろうと葵の末葉であることを忘れぬように」を胸に御三家や松平一門へ養子に入る。物語は、尾張に入った慶勝の視点で語られる。会津に入った容保と桑名に入った定敬は、幕臣としての役目を全うしようとするが、慶勝は外国列強との力の差を痛感し、薩長と近づいて徳川の生き残りを図ろうとして兄弟と対立する。維新後、家は存続したものの新政府に参画することはなく、残葉は散っていく。「(維新の犠牲になったものの)影を背負いゆく者たちの影」である巻末の写真にため息が出た。→2018/10/24
真理そら
65
幕末物なので幕末の有名な事件や人物も登場するが、尾張高須に生まれ養子に出された4人、尾張藩慶勝、会津藩容保、桑名藩定敬、最終的に一橋家当主になる茂栄が明治までどのように生き延びたのかを丁寧に綴られている。視点は様々に変化するが、どちらかと言えば慶勝視点が中心になっているので幕末物らしくなく淡々と描かれている。残された高須4兄弟の写真でも容保のイケメンぶりは伝わるが、なぜ?と思うほど悲運の人なので引き続き『流転の中将』を読むかどうか迷い中。2021/10/13
巨峰
59
さすが評判になっただけあるなと思った。幕末の激動をいきた高須松平家四兄弟の話。地味だった次男が終盤輝きだすのがよい感じだ。2021/01/13
ポチ
56
高須4兄弟の幕末維新の生き方を、尾張・徳川慶勝を主に描く。特に慶勝の徳川の為、家臣の為に生き残りをかけて奔走するも揶揄される姿か、容保や定敬のように幕臣として多大な犠牲を払いながらも戦う姿が良かったのか、分からない。巻末の4人の写真が何故だか哀しく感じる。2019/06/08