出版社内容情報
別れた不倫相手の左腕と暮す「くちなし」、運命で結ばれた恋人に会うと体に花が咲く「花虫」など繊細に紡がれる傑作短編集。
内容説明
別れた愛人の左腕と暮らす。運命の相手の身体には、自分にだけ見える花が咲く。獣になった女は、愛する者を頭から食らう。繊細に紡がれる、七編の傑作短編集。
著者等紹介
彩瀬まる[アヤセマル]
1986年千葉県生まれ。2010年「花に眩む」で「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
466
第158回直木賞候補になってから図書館に予約したので、ようやく読めました。候補作5作目(5/5)コンプリートです。彩瀬まる、初読です。昆虫的or爬虫類的な不可思議短編集、独特の世界感で興味深く読みました。オススメは表題作の『くちなし』です。内容的にも著者の年齢も直木賞というよりも、芥川賞ではないでしょうか?芥川賞候補作なら、もっと良い線まで行ったかも知れません。2018/04/16
ウッディ
329
別れた愛人から左腕をもらった女に対し、夫の腕を返してもらいに来て、自分の腕を置いていく妻。そんな憎むべき女の腕を丁寧に手入れをする表題作など、残酷で妖しげな7つの短編集でした。物語の世界観や設定を理解するのに苦労した割に、それぞれの話は短く、あっさりと終わってしまうという繰り返しで、読むスピードが上がらなかった。「夢十夜」に近い雰囲気で、何かの暗喩と解釈するのか、それともSFとして設定を楽しむ物語なのか読み終わった後もわからず、少し消化不良気味でした。2018/09/30
風眠
320
儚げで繊細で美しいの中に潜んでいる、残酷さ。触れたら一瞬で壊れてしまいそうだけれど、ざっくりと切り裂かれてしまいそうな感じ。この感情、この残酷さ、この官能を私は知っている。どうにもならない事に涙流して、自分勝手な感情を誰かにぶつけて、それでも、日々を何食わぬ顔で生きていかねばならない現実も知っている。本当でも嘘でもいい、愛を追いかければ苦しくて、諦めても苦しくて、波風のない人生を生きることが、こんなにも難しいなんて。ずっと見えていなかった私の中にもある歪な感情。どうしよう、今、あの人の片腕が欲しい、私は。2019/03/25
おしゃべりメガネ
320
R18文学賞受賞作家の彩瀬さんによるファンタジーかつプチホラーな短編集です。フツーの話も書かれていますが、全体的にはファンタジー要素が強めでした。読んでいるうちに千早茜さんの作風とカブッているような気がして、彩瀬さん作品を読んでいる実感がちょっと弱かったです。誰が書いたかは別にして、作品全体としてはあらゆるジャンルな作風があり、飽きるコトなくスラスラと読み進めていけます。個人的には『愛のスカート』と『茄子とゴーヤ』のなんてことない平凡などこにでもあるような日常を描いた作品が彩瀬さんらしく、楽しめました。2017/11/18
うっちー
269
彩瀬まる全開。特に『愛のスカート』が秀逸2018/02/02