恐竜探偵 足跡を追う―糞、嘔吐物、巣穴、卵の化石から

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恐竜探偵 足跡を追う―糞、嘔吐物、巣穴、卵の化石から

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  • サイズ B6判/ページ数 456p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163907024
  • NDC分類 457.87
  • Cコード C0098

出版社内容情報

『ジュラシック・パーク』の常識が覆る!

骨の化石からはわからない、生活痕跡の化石から恐竜の生態、その謎を追う。





目次



第一章 恐竜を追う

生痕学は生物の足跡、巣穴、糞、嘔吐物といった行動の痕跡が残された化石を

研究する分野のことである。そこでは科学と想像力の交差が見られるが、こと

恐竜に関して彼らがどのように生活し、互いや環境とどう影響しあったかを正

確に知るには、骨だけでなく生痕化石をきちんと調べる必要がある。



第二章 この足は歩き、走り、すわり、泳ぎ、群れをなし、狩りをするために作られた

恐竜の足跡は南極大陸を除くすべての大陸で見つかっており、今でも毎年新た

に発見されている。二足歩行か四足歩行か、指の数や向きはどうか。足跡を分

析することで恐竜の種類が判明するのだ。さらに俯瞰して見ると、群れで移動

していたのかどうか、歩く速さや健康状態などまで分かってくる。



第三章 ラーク採石場の謎

オーストラリアのクイーンズランド州にある世界的に有名な恐竜のトラックサ

イト、それがラーク採石場である。一九六二年に目利きのアマチュアが発見。

古生物学者による調査はそれから九年も後のことだった。二一〇平方メートル

の地面に三三〇〇個以上もの足跡が残る――恐竜はまさにここにいたのだ。



第四章 恐竜の巣と子育て

かつて恐竜は子を産むと産みっぱなしと考えられていた。だがそのイメージは

ここ三〇年ほどで大きく変わった。恐竜の巣という決定的なものが見つかった

からだ。水はけがよく土壌が柔らかで、危害を加える他の動物がいない場所を

探し、産卵後には卵をどう扱うかの営巣行動は鳥に似ているかもしれない。



第五章 地下にもぐる恐竜

二〇〇五年、友人の研究者とアメリカ北西部モンタナ州の白亜紀の地層を訪れ

た著者は、興味深い形状の穴を確認。さらにその中からおとなと子どもの恐竜

三体も見つかった。復元された恐竜は解剖学的特徴から穴掘りに適しており、

巣穴のサイズもぴったり。世界で初めての恐竜の巣の発見だった。



第六章 折れた骨、歯型、歯に残された痕跡

骨や皮膚の体化石にも生痕は残されている。中でももっとも明白なのは歯型で

ある。恐竜同士が噛みつき、その歯が骨に残した穴、窪み、傷などの特徴から

様々なことが分かるのだ。噛みついたのか、肉をこそげとろうとしたのか。相

手は生きていたのか、死んでいたのか。血にまみれた食事の詳細とは

内容説明

オーストラリア・クイーンズランド州で発見された三三〇〇もの恐竜の足跡化石。一九七九年、二人の古生物学者がその足跡を丹念に調査し、驚くべき論文「白亜紀のクイーンズランド州における恐竜の暴走」を発表する。「これらの足跡はすべて同じ方向に向く一〇〇匹以上の小型の恐竜のものだ。左方から登場する大型の三本指の足跡を見たまえ。これは大型の肉食恐竜だ。小型の恐竜たちはパニックを起こして一斉に逃げたのだ」だが二〇一三年、別の古生物学者がまったく違う推理を提起する。「これは湖岸を走った跡ではない、川で下流に向かって泳いだ時について足跡だ。何日もかけて刻まれたものである」と。日本人の古生物学者らと共に、恐竜の巣穴の化石を発見した著者が辿る、恐竜たちが生きた痕跡の化石の物語。

目次

第1章 恐竜を追う
第2章 この足は歩き、走り、すわり、泳ぎ、群れをなし、狩りをするために作られた
第3章 ラーク採石場の謎
第4章 恐竜の巣と子育て
第5章 地下にもぐる恐竜
第6章 折れた骨、歯型、歯に残された痕跡
第7章 なぜ恐竜は石を食べるのか
第8章 当時の名残―恐竜の吐物、胃の内容物、糞、その他、虫の知らせ
第9章 壮大な白亜紀を歩く
第10章 わたしたちの中に恐竜の足跡を辿る
第11章 恐竜の景観と進化の足跡

著者等紹介

マーティン,アンソニー・J.[マーティン,アンソニーJ.] [Martin,Anthony J.]
エモリー大学教授。古生物学者で地質学者にして、世界有数の生痕学者。巣穴を掘る恐竜を初めて共同発見し、地質記録に残る最古の恐竜の巣穴も発見した。また、南半球の極地に暮らした恐竜の、最も数が多く整った歩行跡を記録した。ジョージア州アトランタ在住

野中香方子[ノナカキョウコ]
翻訳家。お茶の水女子大学文教育学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

122
年に何冊か恐竜関連の本を読みます。恐竜生痕学者という存在を初めて知りました。恐竜の骨の化石以上に恐竜の生態を教えてくれる生痕化石を巡る冒険、ワクワクしながら読みました。本書のタイトルが意訳し過ぎのような気がしますが・・・本書で毎月のノルマ(30冊、1万頁)を達成しました。 2017/11/22

tom

19
恐竜といえば、福井の恐竜博物館に置いてある巨大な化石標本を思い出すのだけど、この著者の仕事は、骨ではなくて恐竜の痕跡。痕跡というのは、足跡やウンコがメインだけど、吐瀉物、皮膚跡、巣穴などもある。まずは、こんなものも化石になるのですかと驚きます。その上で、著者は、そういったものから分かる恐竜の生活は、化石だけからでは見えないものが見えてくると、繰り返し力説します。そうですかぁ、面白いですねえと、ただただ同意しながら読了した次第。2017/09/25

15
骨以外の生痕化石を扱った本。プレシオサウルスの胃石、翼竜が吐いた鳥四匹、恐竜の巣穴の化石。なんでも化石になるものだなあ。ブラキオサウルスが地上14mの高さから嘔吐したとしたら、どのような化石が残るかの思考実験が面白かった。半径数メートルにシャワーを浴びて死んだ小型恐竜の化石に、嘔吐後の穴の化石。実際に、発掘当時は肉食竜から全力で逃げる草食竜の足跡と思われていたものが、研究が進み、川で下流に向かって進む際についた足跡と分かった例もあるらしい。そりゃティラノも羽毛が生えてファンキーにもなりますわ。面白かった。2018/01/27

くれの

7
一冊じっくり読み終えて気分はすっかり恐竜博士です。生痕化石を具に追っていくと彼らの生活が浮かび上がり遠い過去のお話ではなくなっていました。恐竜の足跡こそ生きた化石と語る著者の思いが詰め込まれています。2017/10/14

マサ

6
とても興味深い内容だった。足跡や、巣穴、糞などの化石は恐竜たちを身近な生き物のように感じさせてくれる。そして本書にはそこから明らかになった最新の情報が盛り込まれているのだろう。それにしても生痕化石からこれほどいろいろな事が分かることに驚いた。ユーモアあふれる文章も面白い。2018/10/27

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