小指が燃える

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小指が燃える

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  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163906980
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

なぜ私は体験していない南方の戦場や爆心地・長崎を書き続けるのか。出発点に立ち戻った作家の寓話的かつポリフォニックな中篇集。

内容説明

私たちは、過去を静かに見つめてみるべきなのだ。遠藤周作、林京子…先達の祈りを胸に戦場や爆心地を書き継ぐ作家の最新作品集。

著者等紹介

青来有一[セイライユウイチ]
1958年、長崎県長崎市生まれ。長崎大学教育学部卒業。1995年、「ジェロニモの十字架」で文學界新人賞、2001年、「聖水」で芥川賞を受賞。2007年、『爆心』で伊藤整文学賞、谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

沙羅双樹

5
神について考えさせられた。私は有神論者なので、時折こころが痛くなる表現があったのだが、それはあくまで小説としての手法であり、着地点はしっかりとしていたので納得できた。また、対談形式にすることによって神の存在価値が見事に炙り出されていた。2022/10/30

hutaro

5
「小指が燃える」の方の感想のみ。戦争を美しいと感じる主人公の考えだけにはどうしてもついていけない。しかし文章に迫力があるせいで、なんで美しいと思わないのかをちょっと考えさせられてしまった。分かりやすい本ではないが、つまらなくはない。2017/09/12

mick

2
読んでいて随筆のように感じられてくる。二作品を続けて読んで、逡巡に苦しくなる。書くこと、原爆、神、混然とした中にいろいろな問題が見えてくる。私にとって青来作品は哲学的でじっくり読むべき作品。戦争を体験しないものが戦争を書くこと、その意義と危うさも考えさせられる。2017/09/15

zikisuzuki

1
小説は文学にも娯楽にもなるが、その境が最も曖昧な表現だ。本に神がいると言うのだから著者は文学を目指しているのだろう。小説を書くという孤独で静かな筈の作業する作家の頭の中の騒がしい事、セロ弾きのゴーシュに例えているそれら、ホントに騒がしい。書き上げた作者の達成感とは別の無報酬がぶら下がっていて、なんだか小指が燃えている。面白い作品では無いが、不思議と読んで良かったと思えるのは私もまた文学を好きだからかもしれない。2017/09/11

風坂

0
売れない作家の元に「戸陰」と名乗る男が現れ、以前作家の書いた「小指が重くて」というファンタジー要素の強い戦争小説を加筆し「小指が燃える」と改題して書いてほしいと頼みに来る。爆心地に住みながら戦争を知らぬが故か「戦争による死は美しく、神の恩寵」と考えていた作家は、その依頼を受けた日から見知らぬ南の国の残兵と意識を交互させるように「死の臭い」を嗅ぐ事となる。空腹から若い女性を蒸し焼きにして食べる仲間、手りゅう弾で自害し飛び散った仲間。自らも生きた子ネズミを噛みしめた幸福を感じる事となる。恨むのは神か人間か。2017/10/11

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