小林秀雄―美しい花

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  • サイズ B6判/ページ数 621p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163906874
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

出版社内容情報

美しい「花」がある、「花」の美しさという様なものはない。



色、音、光、香り、言葉、あるいは不可視な感情の痕跡――。

芸術に触れ、真につき動かされたときに遭遇する何かこそが、

真の美であり、実在なのだと語った小林秀雄。

ベルクソン、ランボー、モーッアルト、ドストエフスキー、本居宣長らとの出会を

通じ、小林が生涯にわたって考え続けたのが美をめぐる問題だった。

不世出の批評家が語りながら考え、書きながら生きた軌跡を、

その現場に降り立つように蘇らせる試みにみちた長編評論。

内容説明

小林秀雄は月の人である。中原中也、堀辰雄、ドストエフスキー、ランボー、ボードレール。小林は彼らに太陽を見た。歴史の中にその実像を浮かび上がらせる傑作評伝。『ランボオ』『Xへの手紙』『ドストエフスキイの生活』から『モオツァルト』まで。小林秀雄の著作を生き直すように読み、言葉の向こうへ広がる世界へと誘う。

目次

第1部(美と見神;琥珀の時代;魔術に憑かれた男 ほか)
第2部(美しき羞恥―堀達雄(一)
すばらしい失敗―堀辰雄(二)
「Xへの手紙」と「テスト氏」 ほか)
第3部(正宗白鳥と「架空の国」;歴史と感情―『ドストエフスキイの生活』(一)
秘められた観念―『ドストエフスキイの生活』(二) ほか)

著者等紹介

若松英輔[ワカマツエイスケ]
批評家。1968(昭和43)年新潟県生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。「越知保夫とその時代 求道の文学」で第14回三田文学新人賞受賞。『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)で第2回西脇順三郎学術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

102
若松さんによる小林秀雄の作品を主にした評論集です。橋爪大三郎さんの「小林秀雄の悲哀」はどちらかというと本居信長を書かれた当時で晩年の小林秀雄を扱っていますがこの作品は若いころからの作品などを取り上げての批評で高校時代から小林を読んでいた私にとっては非常になつかしい感じがあります。私も読みこんでいる方ですが若松さんはさらにものすごく今まで知らないことなどを知ることができました。小林の全集を再読しようかという気になりました。2020/01/18

里愛乍

29
小林秀雄の本は彼以外の人が発する言葉を耳に入れないで読みたいから決して手に取ろうとはこれまで思わなかったのだけど、若松氏は池田晶子氏の本を出している。そして本書のあとがきにも彼女の事に触れていた。彼女を経て小林秀雄を読むようになった自分としてはかなり興味を引く一冊となる。案の定一読して終わる内容ではない事は分かっていた。序章にある「観念は饒舌」にははっとさせられた。ここだけで自分的に充分文庫本購入に値する。2021/12/01

テクパパザンビア

23
美しい「花」がある、「花」の美しさという様なものはない。 難しい「本」がある、「本」の難しさという様なものはある。2018/04/27

呼戯人

17
傑作。小林秀雄の批評を語って、これほど詩と哲学の間を架橋する批評の本質を表現している作品は、なかなかない。ランボーやボードレール、ベルクソンやニーチェ、ドストエフスキーやゴッホ、小林がこれら天才たちの間を蝶のように舞って、作品を紡いだ経緯が詳しく語られる。批評の道は、個を徹底する唯名論的な道であるが、そこから普遍へと達する魂の道でもある。「美しい花がある。花の美しさというようなものはない」という小林の言葉は、この批評の道を象徴的に表現している。2021/12/06

ゆーや

13
2017年66冊目。溜息をついて天井を見上げざるを得ないほどよかった。語るべきことと、沈黙すべきことと、両方に対する愛情が深まった。心の奥底を動かされるものには、沈黙せざるを得ない。それでも言葉は無力ではない。沈黙せざるを得ないものの手前まで導く道を敷く言葉。言葉にし得ることの限界まで、言葉にし得ないこととの臨界まで、触れた人を運んで行けるような言葉。言葉自身の遥か先の景色まで見せてくれる言葉。語り得ない沈黙を、言葉で暴かず、言葉でより豊かに沈黙させる。そういう「沈黙への敬意」を失わない言葉を追求したい。2017/12/31

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