出版社内容情報
昭和初期、青年将校たちが首相暗殺などクーデターを計画。陸軍士官候補生の新吉は、チャップリンの殺害を命じられた。傑作歴史長編。
内容説明
昭和7年(1932年)、青年将校が中心となり、クーデターを画策。純朴な青年・津島新吉は、帝国ホテルに滞在していた喜劇王の暗殺を命じられた。
著者等紹介
土橋章宏[ドバシアキヒロ]
1969年、大阪府豊中市生まれ。関西大学工学部卒業。「超高速!参勤交代」で第37回城戸賞受賞。2013年に同作の小説『超高速!参勤交代』で作家デビュー。同名映画で第38回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。作品も第57回ブルーリボン賞に輝く。2015年9月にはシリーズ2作目の『超高速!参勤交代老中の逆襲』を刊行。同作は2016年9月「超高速!参勤交代リターンズ」として映画公開された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
179
土橋章宏さんは歴史の隙間をつっつくというか、歴史の謎の部分をちょっと埋めてみるというか、そんなのが上手いなあ。そして、相変わらずの臨場感たっぷりの読みやすさ!時間があれば一気読み間違いなしです。今回は5.15事件が舞台。事実が元だから、ぐいぐい引きこまれる。新吉の揺れる若き心、葛藤についつい感情が入ってしまう。感情移入してしまったために、ラストは当然、涙。2018/08/05
starbro
154
書店で気になって、図書館に予約して読みました。土橋章宏、初読です。史実に基づいたミステリ、250P超一気読み、終戦記念日(敗戦の日)に相応しい一冊でした。チャップリンのオマージュ小説、彼の偉大さを改めて認識しました。北朝鮮情勢でキナ臭い今日この頃ですが、改めて”NoMoreWar!Love&Peace”2017/08/15
ゆみねこ
85
チャップリンが5.15事件のとき来日していて、帝国ホテルに宿泊していた。犬養毅首相暗殺と同時にチャップリンに対する暗殺指令が!命じられた若手の士官学校生・新吉は、田舎から出てきた世間知らずの若者。史実とフィクションを上手く絡ませて、一気に読ませます。いい加減でホラ吹きの役者・柳が、一番世の中の実情を見抜いていて、最後は見直しました。2017/08/09
Bugsy Malone
80
チャップリン暗殺を命令された青年新吉は革命と信じ突き進む。その過程で人の心に触れ、チャップリンに出会った新吉は思想に揺らぎを覚え自ら考える事の意味におののく。フィクションではあるが、この事件を境に軍部主導政治になり大東亜戦争に向かっていったことは事実であると思う。そこには当初の新吉の様に考える事を放棄し人の意見を鵜呑みにしてしまう事に対する怖さがある。それは決して過去の話ではなくSNSが盛んな今日こそ当てはまる怖さだ。様々な人々の意見を聴き自らも考え抜くこと。ついつい同調してしまう事ほど恐ろしい。2020/05/31
優希
79
面白かったです。題材はシビアながらも読みやすい作品でした。5.5事件に巻き込まれる青年の姿。チャップリンへの暗殺計画。そんな想いがチャップリンの境遇や他者への接し方を見ているうちに考えが変わるのが印象的でした。信じていたものが狂い、軽蔑していたものが尊敬できる考え方の変化は、軽蔑が尊敬に変わると言えるでしょう。最後が切ない終わり方でじんわりきます。2019/07/15