出版社内容情報
一九八四年、台湾で四人の少年たちは友情を育んでいた。三十年後、そのうち一人が全米を震撼させる殺人鬼に。超弩級の青春ミステリ。
東山 彰良[ヒガシヤマ アキラ]
内容説明
1984年。13歳だった。夏休みが終わる2日前、ぼくたちの人生はここから大きく狂いはじめたんだ。少年時代は儚く、切なく、きらめいている。台湾が舞台の青春小説
著者等紹介
東山彰良[ヒガシヤマアキラ]
1968年台湾生まれ。5歳まで台北で過ごした後、9歳の時に日本に移る。2002年、「タード・オン・ザ・ラン」で第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞を受賞。2003年、同作を改題した『逃亡作法 TURD ON THE RUN』で作家デビュー。2009年、『路傍』で第11回大藪春彦賞受賞。2013年に刊行した『ブラックライダー』が「このミステリーがすごい!2014」第3位、第5回「AXNミステリー闘うベストテン」第1位となる。2015年、『流』で第153回直木賞受賞。2016年、『罪の終わり』で第11回中央公論文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
365
1984年の台湾が舞台。国際政治の中、国家として曖昧な立ち位置を強いられながらも、自由主義のもと目覚ましい経済発展が押し寄せる時代。しかし、その発展とは極めてかけ離れる日常の生活。そんな中でも、少年たちは透き通るほどの利己を剥き出しに、一方で溢れ出す優しい利他を不器用なまでに発し、功利では説明できない彼らの捨てきれない正義を守る姿が力強く描写される。同時に、展開させる現代米国の連続殺人事件。徐々に明らかとされていく現代の事実は、1984年の子供たちを際立たせる。多様な人生。しかし心詰まる切ない結末だった。2020/07/23
starbro
319
東山彰良は、新作中心に読んでいる作家です。直木賞受賞作の『流』の系統の作品、東山彰良版『スタンド・バイ・ミー』ノワールと言った感じです。個人的には『流』より好きな作品ですが、エンディングが少し中途半端かも知れません。2017/06/19
nanako
203
「流」がよかったので、読むのを楽しみにしていました。 結果は、期待を裏切らず、すごく面白かったです。東山さんの文章の特徴である疾走感というか躍動感は健在で、話には友情や、劣等感、優しさや冷たさ、純情さや狡賢さ、盛りだくさんに詰め込まれています。ストーリーでは、「えっ」と思わせるところもあり意表を突かれるところもありました。2017/08/13
修一朗
183
1980年代の台湾で,13歳から始まって15歳で終わる少年達の物語,ラジカセもってブレイクダンス練習して因縁つけてつけられて喧嘩して,1984年の台湾の夏の描写が素晴らしい。まさに17歳から始まる「流」の前日譚。東山さんの描くスタンドバイミーは,甘ったるいところがなくて,もっとザラザラしていて,少年らしい残酷さが見え隠れする。田舎でイケテナイ少年時代を送ったオレは強烈に共感してしまう。「流」が好きな人なら必ずハマると思う。私がそうだ。自分はこういう本が読みたいのだなぁと思う。 2018/09/04
ケイ
169
表紙をよく見たら男の子が4人。これは「中華版 スタンド・バイ・ミー」だ。思春期は、残酷で、苦くて、乱暴で、容赦がない。自分たちの周りだけに集中してあるように思える不幸に悩み、這い出そうと腕を振り回し、友を蹴り上げ、血を吐く。通過儀礼ですまない事態となるように時代が手を貸す。どこか不十分な所もあるように思えるが、それを覆うほどの圧倒的な何かを感じた。『流』から随分と作家として腕をあげられたんじゃないかと。『流』の登場人物も顔を出す。この、熱く、混沌とした台湾の一時代を書かずにはおれないのだろうか。2018/04/28