夜の谷を行く

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  • サイズ B6判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163906119
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

連合赤軍がひき起こした「あさま山荘」事件から四十年余。西田啓子はメンバー同士でのリンチ殺人「総括」から脱走した一人だった。連合赤軍がひき起こした「あさま山荘」事件から四十年余。

その直前、山岳地帯で行なわれた「総括」と称する内部メンバー同士での批判により、12名がリンチで死亡した。

西田啓子は「総括」から逃げ出してきた一人だった。

親戚からはつまはじきにされ、両親は早くに亡くなり、いまはスポーツジムに通いながら、一人で細々と暮している。かろうじて妹の和子と、その娘・佳絵と交流はあるが、佳絵には過去を告げていない。

そんな中、元連合赤軍のメンバー・熊谷千代治から突然連絡がくる。時を同じくして、元連合赤軍最高幹部の永田洋子死刑囚が死亡したとニュースが流れる。

過去と決別したはずだった啓子だが、佳絵の結婚を機に逮捕されたことを告げ、関係がぎくしゃくし始める。さらには、結婚式をする予定のサイパンに、過去に起こした罪で逮捕される可能性があり、行けないことが発覚する。過去の恋人・久間伸郎や、連合赤軍について調べているライター・古市洋造から連絡があり、敬子は過去と直面せずにはいられなくなる。

いま明かされる「山岳ベース」で起こった出来事。「総括」とは何だったのか。集った女たちが夢見たものとは――。啓子は何を思い、何と戦っていたのか。

桐野夏生が挑む、「連合赤軍」の真実。

桐野 夏生[キリノ ナツオ]

内容説明

39年前、西田啓子はリンチ殺人の舞台となった連合赤軍の山岳ベースから脱走した。5年余の服役を経て、いまは一人で静かに過ごしている。だが、2011年、元連合赤軍最高幹部・永田洋子の死の知らせと共に、忘れてしまいたい過去が啓子に迫ってくる。元の仲間、昔の夫から連絡があり、姪に過去を告げねばならず、さらには連合赤軍を取材しているというジャーナリストが現れ―女たちの、連合赤軍の、真実が明かされる。

著者等紹介

桐野夏生[キリノナツオ]
1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、98年『OUT』で日本推理作家協会賞を受賞、2004年同作英訳が日本人初のエドガー賞候補となる。99年『柔らかな頬』で直木賞、03年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、10年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、11年同作で読売文学賞を受賞。15年には紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

682
1971年~’72年にかけて起きた連合赤軍による山岳ベース事件を回顧する。桐野夏生にとっては、彼女の青春期のまさに同時代である。主人公は、当時メンバーの末端にいた西田啓子。人名はおそらく架空のものだと思われるが、モデルはあっただろう。物語は事件の40年後なのだが、そうであるがゆえに圧倒的なまでのリアリティで迫ってくる。作家、桐野にとって、あの事件とはつまり何だったのかを真摯に問い直すのがこの小説である。主人公の西田が語るように、真実の在処はとうとうわからない。狂気、テロリストと名付けるのは所詮は他者だ。2018/10/17

鉄之助

563
これまで「男の論理」でのみ語られていた連合赤軍リンチ殺人事件を、「女の論理」で見つめ直した意欲作。事件後、収監されるも生き残った女性を主人公に、周囲の人物を含めた心理描写が巧みで、最後まで読ませた。エンディング、思わぬ展開になってホッとさせながらも、余韻が深く残る好著だった。2024/07/20

遥かなる想い

439
1972年の連合赤軍を題材にした物語である。 真っ赤な本のカバーが心に痛い。 「忘れたい過去を心に抱え、長く生きる」 というテーマ、過去の残虐な 同志リンチ殺人事件と 合わせ込みながら 著者は骨太に 描く。 女性リーダー永田洋子の死亡とともに 蘇る 過去の日々..40年ぶりの再会 そして事件が 親族の人生にもたらしたものは? まだ あの事件は終わっていない、ことを実感する物語だった。2017/06/29

starbro

431
桐野夏生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。連合赤軍に関しては多少本では読んでいますが、二回り上の世代のため、あまり実感がありません。著者が、このテーマをどう書くか楽しみで、300P弱一気読みしました。革命の熱情&狂気から解き放たれた生き残りの余生は、燃え滓のようなものかも知れません。ラストは少し唐突だったので、もう少し書き込んでも良かったのではないでしょうか。大学に入学した時にまだ学生運動の残党がいた事を想い出しました。2017/05/19

zero1

337
【幸せと平穏さは同じではない】元赤軍派も家族がいて過去を振り返る。当たり前だが過激派も我々と同じ人。オウムにように人を殺す【一線】は低いのか。63歳の啓子は目立たない年金生活。彼女は永田洋子の死を知る。また取材の申し込みと姪の結婚式も。姪は前科を知らず動揺。そして311。桐野は何故この作品を書いた?リンチなど重大事件を起こした犯人と一般人がどう違い、どう解釈するのかを描きたかったはず。赤軍を知らない人は誤解だらけになる危険も。この作家にしては踏み込みが不足。妊娠など、女性読者はどう評価する?2019/12/01

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