切腹考

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  • サイズ B6判/ページ数 288p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163906034
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

切腹のエロスに魅せられた詩人が『阿部一族』を自らの声で語り直しながら伴侶を看取るまで。熊本と異国の空を結ぶ新たなる文学誕生「世の中に切腹愛好家多しといえども、実際に生の切腹を見たことがある人は

なかなかいないだろう。わたしはそのひとりなのだった。」(本文より)



かつて切腹のエロスに魅せられた詩人は?外に辿り着く。

侍たちの死生観をさぐりつつ語りなおす「阿部一族」。

日本語を解さぬ夫を看取りながらの「ぢいさんばあさん」。

離別、誕生、天災……無常の世を生きるための文学。



熊本から異国の空へ、

新たな代表作の誕生!

伊藤 比呂美[イトウ ヒロミ]

内容説明

鴎外を読むことが、生きる死ぬるにつながるのである。かつて切腹のエロスに魅せられた詩人は鴎外に辿り着く。侍たちの死生観をさぐりつつ語りなおす「阿部一族」。日本語を解さぬ夫を看取りながらの「ぢいさんばあさん」。誕生、離別、天災…無常の世を生きるための文学。

目次

切腹考
鴎外先生とわたし
どの坂もお城に向かう
先生たちが声を放る
弥五右衛門
マーマイトの小瓶
普請中
ばあさんとぢいさん
ヰタ・リテラーリス
山は遠うございます
隣のスモトさん
阿部茶事談(抄)
ダフォディル
地震
(森林太郎トシテ死)

著者等紹介

伊藤比呂美[イトウヒロミ]
1955年、東京都生まれ。78年、『草木の空』でデビュー。80年代の女性詩ブームをリードする。97年に渡米した後、熊本に住む両親の遠距離介護を続けていた。99年、『ラニーニャ』で野間文芸新人賞、2006年、『河原荒草』で高見順賞、07年、『とげ抜き新巣鴨地蔵縁起』で萩原朔太郎賞、08年、紫式部文学賞を受賞。15年、坪内逍遙大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

美登利

96
「しろみ」さんのエッセイは好き。私は切腹と森鴎外に何も思い入れは無いが、目に止まったので読む。ああ、あの小難しいイギリス人の夫とはどうなったのか?実父様をカリフォルニアと熊本を行き来し看取ったあとが気になっていました。その後日談でもあるのでその部分はまるで知人の話をきくように読みました。鴎外の本は若い頃に数冊読んだくらい。純文学はあまり読んで来なかったけれど、歳を重ねて読むと違うのものかな?と。しろみさんが異国で暮らすのはいつまでなんだろう。夫が亡くなったいま。それでも生きていくのかな、彼の家で。2017/07/04

どんぐり

83
詩人、伊藤比呂美のエッセイ15本。生の切腹を実際に見たという〈切腹考〉に始まり、森鴎外への敬愛、長年のパートナーであったハロルド・コーエンの看取りと死に向かう情景が記されている。いつ死ぬのか、どれだけ死に近いのかわからないまま、自分の手から離れていく者の最期を見届けようとする詩人の「透き通るほど白々とした顔色がもう半分この世のものではなく、口を開けて眠るその姿は、死骸になりかけている」という〈ダフォディル〉から、「終わった、終わった。それが死だ」と熊本に帰ろうとする〈地震〉のくだりにぶちのめされる。ただ、2020/08/14

nyaoko

80
父親の介護を綴ったエッセイを読んだので、次は夫を見送った物を読もうと探して借りて来ました。そしたら、切腹から始まるから驚いた。血の苦手な人はちょっと厳しい描写。私は平気なので、フムフムと読んだ。森鴎外についてはほぼ斜め読み。阿部一族、興津屋の話、そして熊本。それは食い入るようにして読んだ。そして、年の離れた連れ合いの最期。なんと気難しい男をよくぞそこまで見たなぁと頭が下がる。好きだけじゃ出来ないよ、命の看取りは。伊藤さんは本当に愛の人だ。2019/12/28

ネギっ子gen

67
【世の中に切腹愛好家多しといえども、実際に生の切腹を見たことがある人はなかなかいないだろう。わたしはそのひとりなのだった】著者の本は、昔からよく読んでいる。が、この本はスルーしてきた。のに、連れ合いが借りてきて、すぐ読み始め「やっぱり比呂美さんはイイ!」と感嘆。で、わたしも読んだ、と――。冒頭から切腹の目撃譚という血腥い文章なのである。普段から「本を読むなら、人が次々と殺されるヤツで海外ミステリー!」と広言する連れ合いは、自らのお産体験を通し、切腹のエロスに想いを馳せたか――。さ、鷗外に再チャレンジだ!⇒2023/08/01

あも

67
詩人・伊藤比呂美。タイトルに惹かれたが、冒頭数編を除けば、切腹については然程語られず。海外生活、気難しく年老いた夫との生活、熊本大震災…エッセイのような論考のようなとりとめない文章を淡々と読み進めていたが、夫の最期に至り、余りにリアルな「死」の息遣いを濃厚に感じグイグイ引き込まれた。誰がどう見てもすぐに死ぬだろう88歳の夫を見て著者は思う。"おれも死ぬという実感は、微塵も感じられなかった。「死」は、やはり、いつか遠い将来に起きるかもしれない、でももしかしたら、自分には起きないかもしれないファンタジー"と。2020/07/16

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