出版社内容情報
商社マンの憲一の戸籍に知らぬ間に、フィリピン人女性マリアの名前が入っていた。妻がいるのに重婚ではないのか? マリアの狙いは?大手商社のエリート社員、桂木憲一は、妻、大学生の娘と幸せな家庭を築いていた。が、パスポート更新のために、戸籍謄本を取り寄せたことから、生活が暗転しはじめる。なんと、最新の謄本には、「婚姻」欄に、妻の里美と並んで、マリア・ロペスというフィリピン人女性の名が書かれていたのだ。
実は憲一は20年ほど前、マニラ赴任中に、このマリアと結婚式を挙げながら、一人で帰国したままになっていたのだった。役所に確認すると、そのマリアから、フィリピンの婚姻証明書が送られてきたため、憲一の戸籍に名前が入ったのだという。しかし、日本では重婚は認められていないはずではないか?
役所に問い合わせると、「刑法には重婚罪がありますが、民法上は、当事者からの請求がないかぎり、行政が重婚を解消する手続きは、定められていないのです」という意外な答えが返ってきた(警察が刑事罰として動くことも事実上ない)。
さらに数日後、憲一の自宅に、一通の封書が届く。中を確認した妻は悲鳴をあげた。
送られてきたのは新たな戸籍謄本で、そこには「長男」として「ケン」という名が書かれていた。
それにしてもマリアはなぜ、今になってこのような行動に出たのか――。
事実に基づく驚天動地のストーリー。
橘 玲[タチバナ アキラ]
内容説明
大手商社五井商事の部長、桂木憲一がパスポートの申請のために戸籍騰本をとると、婚姻欄に、妻の名前と並んで、「ロペス・マリア」なるフィリピン人女性の名前が入っていた。いったいどういうことなのか。戸籍が乗っ取られたのか?そもそも、日本では重婚は認められていないはずではないか?市役所市民課の山下という課長補佐に問い合わせると、「刑法には重婚罪がありますが、民法では『配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない』として、当事者がその取消しを請求できると定めているだけですから、請求がなければそのままです」との驚くべき返事が返ってきたのだった―。
著者等紹介
橘玲[タチバナアキラ]
1959年生まれ。2002年金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。同年『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』がベストセラーに。06年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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