静かな雨

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  • サイズ B6判/ページ数 107p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163905716
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

短期間しか新しい記憶を留めておけなくなってしまったこよみと、大学の研究室で働く行助。二人の恋を瑞々しい筆致で紡ぐ著者の原点。「忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない」



新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在が全てだった行助の物語。

『羊と鋼の森』と対をなす、著者の原点にして本屋大賞受賞第一作。



〈著者プロフィール〉

宮下奈都(みやした・なつ)

一九六七年福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒。二〇〇四年、「静かな雨」が文學界新人賞佳作に入選、デビュー。〇七年に発表された長編『スコーレNo.4』が絶賛される。一五年に刊行された『羊と鋼の森』が本屋大賞、キノベス第一位、ブランチブックアワード大賞の三冠を受賞。その他の著書に『遠くの声に耳を澄ませて』『よろこびの歌』『太陽のパスタ、豆のスープ』『田舎の紳士服店のモデルの妻』『ふたつのしるし』『誰かが足りない』『たった、それだけ』など。



◯著者の言葉

「静かな雨」は、人の可能性について書きたかったのだと思う。少なくとも自分ではそのつもりだった。でも、どうだろう。可能性の話というよりは、可能性をなくしていく話だったかもしれない。人はどんなふうに生きることができるか。その選択肢をなくした先にたどり着く場所について。

(中略)

とりわけ、『羊と鋼の森』にはまっすぐにつながっていた。まったく違う物語なのに、根っこがしっかりとつながっていた。

読み返して一番感情を揺さぶられたのは、作者本人だったと思う。

(月刊文藝春秋1月号より)

宮下 奈都[ミヤシタ ナツ]

内容説明

忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない。新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在がすべてだった行助。『羊と鋼の森』と対をなす、著者の原点にして本屋大賞受賞第一作。

著者等紹介

宮下奈都[ミヤシタナツ]
1967年福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒。2004年、「静かな雨」が文學界新人賞佳作に入選、デビュー。15年に刊行された『羊と鋼の森』が本屋大賞、キノベス第一位、ブランチブックアワード大賞の三冠を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

579
宮下奈都、3作目です。図書館の予約に出遅れてようやく読めました。単行本1冊で1作なので、中編かと思いきや1頁の文字数も少なく短編小説のような感じです。美味しい鯛焼きのように、温かく、ほんのり甘い物語でした。リアル忘却探偵 掟上今日子(忘却鯛焼屋 こよみ)でもあります。2017/04/14

風眠

506
どんなに愛していても、いろんな事が仕方ないと分かっていても、時に人は相手を責めてしまう。どうしようもない怒りや悲しさを、ぶつけてしまう事がある。本当に愛しているから、現実に苦しくなる事もある。事故の後遺症で新しい記憶を留めておけないこよみと、そんな彼女に寄り添う行助。これは、そういう二人の物語だ。こよみの過去、行助の過去、そこを匂わせながら書かない素っ気なさが、二人の物語をそっと包む。ブロッコリーが嫌いというメモ、リスボンの胡桃のエピソード、黙って涙を流す夜。また最初から始める朝。積み重なる日々の欠片。2017/02/25

zero1

464
デビュー作だが小説を知っている読者なら宮下の感性がこの時点で既に輝きを放っていることが分かる(後述)。足に麻痺がある行助と、人気のたい焼きを作るこよみ。「博士の愛した数式」(小川洋子)既読なら作品世界に入ることは容易。宮下の目には「あきらめの色」が見えるのだろう。それはどんな色?人は「思い」より深い「想い」を積み重ねて生きる。きれいごとだけじゃなく、ブロッコリーの部分は人の黒い心を示すのに必要。地味だが、重なる部分を見つけ前に進むことというテーマは、いかにも宮下作品。短いが急がず読んでほしい。2019/09/13

ウッディ

391
誰もが笑顔になってしまうほど美味しいたい焼き屋のこよみさん、それが行助が好きになった女性だった。二人の間に淡い恋心が芽生えた頃、こよみさんは事故に遭い、記憶障害になってしまう。「博士の愛した数式」を彷彿とさせるストーリーだなと思っていたら、彼女の厳選本棚に並んでいて、微笑ましさと切なさを感じた。「行助はブロッコリーが嫌い」と記した付箋と彼女が悲しい想いをしないためにいくらでもブロッコリーを食べてやると誓う行助、昨日の出来事を忘れてしまっても、そんな二人の前には温かな未来が続いていると信じられる気がした。2021/09/06

三代目 びあだいまおう

319
デビュー作。嬉しかったよね!初めてこの本を手にした宮下さん。自分の文章が実際の本になり、しかも装画ルノアール、装丁が大久保さん。半透明のヴェールに優しく包まれた贅沢さ。『新人の、しかも100ページ程度の作品なのに・・・こんなに素敵な本に仕上げて下さって♥️』ってすごく嬉しかっただろうな。関わった方のおかげで今私たちは宮下作品を楽しめる。感謝!事故の後遺症で前日の記憶がなくなるこよみ。共に生きようと寄り添う松葉杖の行助。どんな日でも明日は必ず始まる『暦』!きっとあなたもこよみのたい焼きを食べたくなる‼️🙇2019/11/06

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